サッカー競技で男女ともベスト4に進出したのは日本だけだった。アベックでともに五輪初制覇へ―。前日、「なでしこジャパン」がフランスの猛攻を耐えに耐えて銀メダル以上を確定させた興奮が冷めやらぬ中、関塚ジャパンにもあと2勝への期待が大きく膨らんでいたはずだ。その夢は準決勝のメキシコ戦、前半12分に大津が豪快なミドルシュートを決めて先制したとき、現実のものに変わろうとしていたのだが…。  まだ、この世に生を受けていなかったメンバーが、44年前の大会で対決した両国の「因縁」を背負ってウェンブリー競技場のピッチに立っていた。母国の誇りと名誉を懸けた、五輪の醍醐味がたっぷりと詰まったメキシコ―日本を8万2000人余りの大観衆が固唾(かたず)をのんで見守った。  ▽ファインゴール  試合開始から互角だった。前線からの激しいプレス、間延びしないパス回し、両チームとも似たようなプレースタイルだった。その間隙(かんげき)をぬって先制したのが日本。前半12分、左サイドの徳永から東につなぎ、中央寄りの大津へ。若干のトラップミスがボールを浮かせる結果を生み、右足にジャストミートしやすい状況をつくった。わずかにアウトにかけたシュートはゴール右上に吸い込まれた。まさに豪快という言葉がピッタリのファインゴールだった。  だが前半31分、右CKから同点ゴールを割られて今大会5試合目で初失点を喫すると、後半20分には扇原の緩慢なドリブルを見逃さなかったペラルタにボールをさらわれ勝ち越しゴールを奪われてしまった。「ここからが本当の勝負」。誰もがそう思ったはずだ。残り時間を考えても十分に同点、勝ち越しは狙える。事実、30分ごろには日本ペースで試合が流れていた。だからこそ、関塚監督は26分にトップの位置に杉本を投入したのを皮切りに、10分余りのうちに3人の交代枠を使い切って反撃の姿勢を明確にした。  ▽疲労と焦り  しかし、笛吹けど踊らない、いや踊れない選手たち。攻撃の軸だった清武は宇佐美と交代してピッチにはいない。シュートはゴールの枠内に収まらない。焦りと疲労、それにメキシコの巧みな守備。決定機は最後まで訪れることなく、後半ロスタイムにはダメ押しの3点目を失った。関塚監督は「先制して立ち上がりはよかったと思うが、だんだん足が止まった。自分たちのペースに持ってこられなかった」と悔やんだ。ベスト4進出の原動力になっていた吉田主将は「悔しいけど相手が一枚上。中盤や守備の中でもミスがあった。そういう隙を突かれた」。同じく、左太もも痛を抱えながら先発しフル出場した永井は「前線からの守備がなかなかはまらなくて、相手に自由にやらせてしまった。自分たちのミスで失点して慌てた」と反省した。  快進撃に急ブレーキがかかってしまった関塚ジャパン。このままメダル獲得の絶好機を手放してしまうのか。それとも最後の死力を振り絞ってくれるのか。チームの柱である清武は「日の丸を背負っている以上、メダルを持って帰らないといけない」と固く誓ってくれた。銅メダルを懸けた3位決定戦は宿命のライバル、韓国が相手となった。負けるわけにはいかない。 (47NEWS 浜田潔)