なでしこジャパンがサッカーの聖地、ウェンブリー競技場での準決勝で、フランスの猛反撃を2-1で振り切りオリンピックでは初のメダル獲得を決めた。耐え抜いた末の勝利だった。  ▽宮間のFK  昨年の女子ワールドカップ(W杯)に続く世界制覇への王手。流れをつくったのは主将宮間の2つのFKだった。フランスの堅い守りにあい、攻めあぐねていたなでしこは前半32分、FKのチャンス。宮間がゴール正面にけり込むと、飛び出したGKがボールを確保し損ねた。これを体勢を崩しかけながらも大儀見が左足で押し込んだ。なでしこにとってはこの試合で最初のシュートだった。  後半4分は再び、宮間の低く強い弾道のFKに合わせ、阪口がヘディングシュートを鮮やかに決めた。数少ない好機を得点に結び付ける集中力がものをいった。  ▽フランスの猛反撃  沢はそれを「怒濤(とう)の攻め」と表現した。劣勢に立たされたフランスはすさまじい反撃に転じた。過去の対戦成績は3勝2敗と日本をリードし、五輪直前の強化試合も2-0の快勝。スコア以上に圧倒的な試合内容だった。個の能力だけでなく、確かな戦術眼も備えている。  後半、フランスはなでしこゴールに襲いかかった。31分、ルソメルが豪快にネットを揺らし1点差。2分後には阪口のファウルからPKを得たが、ブサグリアが右に外した。それでもひるまず、なでしこをゴール前にくぎ付けにする猛攻を続けた。  ▽耐え抜く力  結局、シュート数はなでしこの4に対しフランスは27。GK福元の好セーブと一丸となっての守りでしのぎきった。準々決勝のブラジル戦と同様、粘り強くゴールを割られない強さを発揮した。この力の源泉となっているのは「五輪で優勝したい」の一念である。4年前の北京で初めてベスト4に進出したが、米国とドイツのパワーに屈してメダルに手が届かなかった「悔しさ」も忘れられない。  彼女たちは女子W杯優勝を一定の通過点としかとらえていない。日本では最も注目される五輪で勝ってこそ、真のチャンピオンとして認知してもらえると考えているからだ。女子サッカー人気を一過性のブームにとどまらせず、しっかりと根付かせたい。リーグ戦のスタジアムは以前よりにぎわうようになったし、選手のCM進出など華やかさは増した。だが、その生活や活動環境が格段に改善されたわけではない。  ▽夢実現へあと1勝  強豪米国でさえ達成したことのない女子W杯との2年連続世界制覇。宮間は「全員がよく戦った」と激闘を振り返ったが、勝利の余韻に浸ってなどいなかった。「一番いい色のメダルを目指してきたので、早く帰って米国とカナダの試合を見て分析したい」。リーダーの強固な決意の下、なでしこは頂点を狙う。 (47NEWS 岡本彰)