金メダルを目標にした体操男子団体総合の日本は、最終種目での内村航平の採点見直しが認められて銀メダルに落ち着いた。2004年アテネの金、08年北京の銀に続く3大会連続の表彰台だが、競技会場の最終順位スコアボードには一時、4位転落の表示が出るシーンもあった。「体操ニッポン」のエースの表彰式後のインタビューに、落胆の表情が見えたので、あえて言う。個人総合決勝と種目別決勝へ、奮起と奮闘を-。がんばっ、内村航平!  ▽シナリオ、早々に破綻  「内村で始まり、内村で終わる」。アテネ五輪以来の王座奪回への夢が、日本の演技順に込められていた。チーム全体の流れを引き寄せるスタート種目、つり輪の1番手に内村を起用し、しのぎを削る優勝争いの緊張感で迎える最終種目のあん馬を内村で締めくくる。  しかし、2種目目の跳馬でこのシナリオは早くもほころびを見せる。山室光史が着地でバランスを崩して、左足の甲を痛めた。優勝争いのライバル中国に逆転を許した上、山室の負傷も響いて、その後はじりじりと水をあけられて最終6種目目のあん馬へ。日本の金メダル獲得は絶望的になっていたが、内村はスピード感あふれる演技で、攻めの姿勢を貫いた。だが、着地までをきちんと詰めることはできなかった。  ▽エースの着地ミス  そもそも内村がエースらしくきちんとあん馬の着地を決めていれば、スコアボードの4位も採点のごたごた劇もなかった。そもそもついでに言えば、日本は団体総合予選をトップ通過して、この日の決勝を床運動からスタートし鉄棒で締めくくる。こんな体操の王道を踏んで王座を奪回するはずではなかったか。  これまでも日本が苦手にしてきた種目が、つり輪とあん馬。スタートのつり輪は乗り切ったものの、締めくくりのあん馬までは、気力と体力が持続しなかった印象が残る。立花泰則監督が「日本は心の成長を含めて、選手強化をしないといけない」と課題を語っている。  ▽再び風をつかまえて  エースに求められるチームを引っ張る責任感とその重さ。「今まで何をやってきたのだろう。正直、何も言葉が出ない」と内村は悔しさをかみしめ、「(最終的には)2位になったが、2位でも4位でも変わらない。後味の悪いチーム戦だった」と残念がった。栄光の時代も不遇の時も「体操ニッポン」のエースは、いつもこのプレッシャーを背負い、糧にして戦ってきた。内村には個人総合決勝で、エースにふさわしい活躍のチャンスがある。今大会中に再び風をつかまえて、ぜひ追い風に乗ってほしい。 (共同通信スポーツデータ部長 中村広志)