競泳男子の個人種目では前人未到の3連覇。100メートル平泳ぎでの北島康介の挑戦は5位に終わった。「金メダルという夢には届かなかったが、きょうできる精いっぱいの泳ぎはできたと思う」。レース直後の北島は淡々と振り返った。4年前の北京で見せた歓喜の雄たけびシーンを鮮明に記憶している者には、拍子抜けするほど穏やかな表情でもあった。  ▽世界新ペースに絡めず  タイムが伸びなかった前兆は28日(現地)のレースからあった。予選は59秒63で全体の2位、準決勝は59秒69で6位。準決勝のタイムの方が劣るなど、心身のコンディションを意のままに操ることに定評のあった男には珍しい内容だった。それは自分自身が最もよく分かっていて、「(泳ぎが)ちょっとかみ合っていない」と認めていたのだ。  4月の全日本選手権でマークした58秒90は今季の世界最速タイムで、エースに寄せられる期待も当然大きかった。だが本番の決勝は猛烈なハイペースで進みファンデルバーグ(南アフリカ)が58秒46の世界新で制した。北島はこの展開に最後まで絡めないまま終わり59秒79。  ▽至難の到達点  前日は400メートル個人メドレーでやはり3連覇に挑んだ「北京の8冠王」フェルプス(米国)が4位に沈んだ。あの怪物が高校生の萩野公介にも敗れたのだ。3連覇は女子に2人の達成者がいる。だが、1世紀を超える歴史を誇る男子では存在しない。それだけ選手層が厚く激烈な新陳代謝を繰り返す世界では、至難の偉業と言えるのだ。  31日からはもう一つのV3への挑戦、200メートル平泳ぎがある。「まだ自分には200メートルもあるし、チームの(メドレー)リレーもある。自分の役割をきちんと最後までまっとうできるよう調整したい」。日本チームの大黒柱らしい前向きのコメントを残した。本当にわずかしか残されていない時間の中で、果たしてピークにまで持っていけるだろうか。  ▽待ち遠しい? 金メダル  頼みの北島の願いがかなわなかったこともあって、日本の金メダリスト第1号はこの日も誕生しなかった。女子の重量挙げや団体アーチェリー、それに萩野の躍進などうれしい話題は生まれている。だが、お家芸の柔道は男子こそ銀、銅とメダルを手にしたものの、圧倒的な優勢を予想されていた女子の軽量級は2連敗。日本選手団は「金15」を今大会の目標に掲げているが、世界の頂点に立つのは並大抵のことではない。 (47NEWS 岡本彰)