フィナーレはビートルズの世界的なヒット曲「ヘイ・ジュード」の大合唱が五輪スタジアムを揺り動かした。まるで選手たちが戦い終えて再会を楽しみに待つ閉会式と錯覚してしまいそうな、ある種の安らぎと感動を覚える強烈な印象を残した。  3度目の開催となるロンドン大会のモットーは「世代を超えたインスピレーション」。多くの近代スポーツを生み育てた英国が先人たちの労苦と喜びを、若い世代に継承しスポーツ参加を促していこうとの狙いだろう。    式の最終盤にそれは象徴的に表れた。テムズ川をボートで運ばれてきた聖火はボートで金メダル5個を獲得した名選手に引き継がれ式場内へ。そこで待っていたのは7人の10代の選手たち。彼らが場内を1周した後、7人の元スター選手たちが待ち構えていた。ところが主役は将来を嘱望される若者たちだった。  7人が銅製の花びらの形をした器に点火すると、炎は次々と広がり最後は一つの太い束のようになって聖火台が現れた。器は入場行進の際、各選手団に渡されていたもので、世界の国と地域が一つにまとまるようにとの願いが込められていた。実に凝ったアイデアである。  しゃれた演出が散りばめられていた。エリザベス女王が高名な俳優にエスコートされてヘリコプターで会場上空に到着し、落下傘降下へ。と、その瞬間、映像は現実に切り替わり、貴賓席に女王が登場するといった具合で、スタンドは大いに沸いた。  国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は「五輪史上初めて全チームに女性が含まれており、男女平等の進展に寄与するはず」としっかりPR。入場行進では女子初参加のブルネイのほか、日本の吉田沙保里やドイツ、フランスなども女性が旗手を務めIOCとぴたり呼吸を合わせた。  スポーツをはじめ映画、音楽など成熟した文化を誇る英国ならでは粋を凝らした進行ぶりだった。  開催にあたって、マラソンコースなど古いロンドンの街並みや施設を活用しつつ、かつては広大な工場地帯で最も貧しい所と位置付けられていたロンドン東部地域を大規模再開発した。それが五輪スタジアムを中心とした五輪公園一帯だ。開催費用が当初の目論見の3倍あまりに膨れ上がったため、財政再建の足かせになるのではと危ぶむ声はある。    巨大イベント開催に伴う危うさを秘めつつ大会は本格的に始まった。男女サッカーの快進撃に意気上がる日本のメダル獲得第1号が今夜にも誕生する。 (47NEWS 岡本彰)