球史に残る大打者の本心だったかどうかは分からない。野村克也さんはよく「俺はヘボバッター」と自虐した。「現役時代、打つ方はあまり興味がなかった」と口にしたこともある。打撃を多く語ろうとしない代わりに、「一番面白い」という選手の育成については常に雄弁だった。

 野村さんの野球は「プロセス重視」。選手には人間的成長と野球への理解向上を求める。春季キャンプ中は毎晩1時間余り、教師と化して講義した。自作の教本は加筆、修正を重ねて、楽天の監督だった2008年には270ページ。「どう伝えればいいのか、いつも迷っとる」。70歳を超えてなお、選手に響く一語を探っていた。

 言葉一...    
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