重圧がのしかかる。2017年10月。視覚障害者柔道女子57キロ級の広瀬順子(29)はウズベキスタンの国際大会ですくみ上がっていた。前年のリオデジャネイロ・パラリンピックで銅メダルを獲得してから、初めての大会。「銅以上を取らないと」「勝たなきゃ」。初戦の開始早々、畳にたたきつけられ、一本負け。肩を落として引き揚げた。

 選手として同じ大会に参加していた夫の悠=はるか=(40)は、一部始終を見ていた。心を乱されている妻を見かね、声をかけた。「負けて周りから何と言われても死ぬわけじゃない。負けていいから、そんなに気を張らず、気楽にやろう」

 順子は生真面目でプレッシャ...    
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