止まっていた時計の針が動きだした。2017年4月、千葉県内にある富士通の選手寮。長らく股関節痛に苦しんでいた陸上男子の鈴木雄介(32)は、新たに競歩担当となった高野善輝コーチ(33)と顔合わせをした。20キロの世界記録保持者として15年夏の世界選手権(北京)に臨み、痛みに耐えかね途中棄権。以降、リハビリばかりで「真っ暗闇で先が見えない」という時期だった。

 「一緒に頑張っていこう」

 高野コーチのあいさつを受け、近況を報告し合った。それまで孤独で、何事も自分一人で決めていた鈴木は所属の先輩コーチをすんなり受け入れることができたという。

 「もし、故障...    
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