疲労困憊(こんぱい)の表情から、キリッとした顔に変わったのを覚えている。ドーハで行われた陸上の世界選手権。男子50キロ競歩で鈴木雄介(富士通)が金メダルを獲得した。それは2015年から苦しんできた故障からの完全復活を意味していた。

 気温30度超、湿度も70%を超える悪条件の中、4時間を超えるレース。脱水症状と内臓疲労で報道陣の前に現れたのは、ゴールして30分以上たってから。記者会見も終盤になり、「今考えると、けがで歩けなかった期間はどういうものだったのか」と質問が飛んだ。鈴木は、はっきりとした強い口調でこう答えた。

 「言いたいのは、あの時間は無駄だったという...    
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