それは前半20分すぎの出来事だった。ゴール前に猛然と駆け上がった高山薫は、相手選手と交錯しピッチに転倒した。苦悶(くもん)の表情を浮かべてピッチの外へ出た彼は、数分後再びピッチへ戻る。それでも前半終了のホイッスルを聞く直前、彼は再度ピッチを後にせざるを得なかった。

 3月25日、ホームで行われたJ2リーグ第5節ジェフ千葉戦でのアクシデント。下された診断結果は右膝前十字靭帯(じんたい)損傷。全治までに要する時間は8カ月。クラブに携わる全ての人間にとって信じ難い診断は、しかし動かしようのない現実だった。

 28日、練習前のミーティングで選手に高山の状況が伝えられた。一様に曇る表情。流れる重苦し...    
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