押し入れのどこかにしまったグラブは、いつかの夢の続きを思い出させた。「これが現役最後のミットです」。元高校球児の猪狩優樹さん(22)は数カ月ぶりに取り出した愛用品を手になじませた。震災後、埼玉県立浦和東高校に転校して最初に買ったミット。それが引退までの友だった。「買ったときは赤くて格好良かったんですよ。手入れをしないといけないな」。少し申し訳なさそうな笑顔を見せる。

 猪狩さんは福島県立双葉高校出身。野球部で甲子園を目指す毎日だった。しかし、1年生の時に震災が発生。埼玉に避難し、浦和東高に転入した。3年夏の県大会では主将としてチームを引っ張った。

 進学した日体大では、高校時代に痛めた膝の...    
<記事全文を読む>