軽快にピッチを刻む玄海町体協のエース小野茂行は、一度も後ろを振り返らなかったが、追ってくる影を感じていた。厳木小学校を過ぎ、残りは数百メートルの直線。力強い足音が真後ろに迫る中、全力でラストスパートをかけた。だが、前半ゴール直前でかわされる。先に飛び込んだのは、有田町体協の原田和芳だった。

 69年の歴史の中で数多くの名勝負を生んだ東西松浦駅伝。中でも1979年、第32回大会5区(伊万里市大川町-厳木町)の小野と原田の一騎打ちは、今も語り草となっている。

 当時、小野は25歳。次々に区間新を塗り替え全盛期を迎えていた。一方、原田は実業団の新日鉄八幡から故郷にUターンした新人。22歳だった。...    
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