七回1死満塁。同点の1点、さらに勝ち越しの1点を許し、なおピンチが続く。成章の小久保椋投手(三年)は、使い古したグラブを見つめた。「兄ちゃんの借りを返したい」。気持ちが引き締まる。連続で三振を奪って、この回を終えた。

 四つ年上の兄克樹さん(22)も成章の野球部出身。肩が強くて球速のある投手だったが、マウンドに立つと球を投げられなくなった。父勝さん(45)の影響で、幼いころから野球に親しんできた兄弟。投手を断念せざるを得なかった兄の無念は、弟にも伝わっていた。

 尊敬する兄の夢を受け継ぐように、克樹さんのグラブを使い続けた。ピンチになればグラブを見る。兄弟を支え続けてくれた両親のた...    
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