前に落ちた打球を右手のグラブでつかむと、すかさずグラブを左腕にはさみ、右手で投げる-。五回、打球が左翼方向に飛ぶたび、進塁を防ごうと送球を急いだ。

 南陽の村井渉主将(三年)は、先天的な障害で左手が親指一本しかなく、握力はほとんどない。それでも好きな野球をやるために編み出した独自のスタイルだ。

 幼少期、両親は手を使わないサッカーをさせようとしたが、バットやグラブが気に入り、小学四年で野球を始めた。クラブチームに入る時、母親の友紀さん(44)は「ハンディを言い訳にするな」と言い聞かせた。

 どうしても捕球から送球まで時間のロスがある。バットは片手でしか握れず、スイングは他の打者より遅...    
<記事全文を読む>