ふいに、子どもの頃に見た光景が頭に浮かんだ。七回の攻撃。上原龍真人の適時打で6点差に詰め、なお無死二、三塁。「お父さんもこんな気持ちだったのかな」。そう思ったら、ずきずき痛んだ左手首が気にならなくなった。 ◎快進撃 あと一歩  左打席に入って初球を捉えると、一、二塁間を抜けてライト前へ。拳を強く握って駆けた。ベースの先に、憧れの背中が見えた気がした。  1988年の夏、父の政和さん(46)も球児だった。利根商の5番、サードでキャプテン。準優勝した年だ。写真パネルに、テレビ中継を録画したビデオカセット。思い出に囲まれて育った。  何回戦の、相手はどこだったか。テープがすり切れるく...    
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