世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっている。15日にはプロ野球日本ハムと阪神で活躍した片岡篤史氏が動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で自身の感染を公表した。この映像は各メディアが取り上げ、衝撃を持って伝えられた。片岡氏の「皆さんには今まで以上に十分予防していただいて、感染されないようにしてください」という呼び掛けに「もはやひとごとではない」と感じた人も多いことだろう。

F1を始めとした全てのモータースポーツ活動が停止した状態となって1カ月以上となる。厳しい移動制限が課せられているヨーロッパに本拠地があるF1チームはドライバーだけでなくスタッフも自宅待機を余儀なくされている。

F1英国GPが開かれるイギリスのシルバーストーン・サーキット近くに本拠地を構える「BWT・レーシング・ポイントF1チーム」のスタッフによると、自宅の外に出るのは週に一度、食料の買い出しのみだという。

「状況はひどくなる一方だ。今は外出禁止を守ってチーム活動が再開したときすぐ合流できる準備を整えておかないといけない」。力強くそう語る口調からは自身が感染することでチーム活動の阻害になるわけにはいかないという強い責任感が感じられた。

厳しい状態が続くなか、現在、F1やアメリカ最高峰のインディ・シリーズはファンサービスの一環として、オンラインでのバーチャルレースを開催している。

バーチャルではあるものの現役のレーシングドライバーが参加して白熱のレースを繰り広げる。そのことで、再開を待ちわびる世界中のレースファンにできた心の隙間を埋めようというのだ。

F1は公式ゲーム「F1 2019」を使用した「F1 Eスポーツ バーチャル・GP」。インディカー・シリーズはドライビングシミュレーターで競う「インディカー・iRacingチャレンジ」。そんな名前のシリーズを休止期間限定で行っている。ともにユーチューブなどでリアルタイムに観戦できる。加えて、これまでのレースもアーカイブされているのでいつでも見直すことができる。

どちらも多くの人が視聴しているが、F1 Eスポーツ バーチャル・GPの人気はやはりすさまじい。8日に開催されたレースの再生回数は180万回以上を記録したほど。再生回数では及ばないインディカー・iRacingチャレンジだが、18日のレースから佐藤琢磨の参戦が決定している。これには日本のレースファンも注目だ。

実際にeスポーツ・レースを観戦してみた。バーチャル画面ではあるが想像以上に楽しめた。インディカー・iRacingチャレンジがオーバルコースで行ったレースは本物に遜色ない迫力に驚かされた。

もちろんドライバーたちの腕があればこそだが、常に接近戦で抜きつ抜かれつの戦いが繰り広げられるオーバルコースはeスポーツ・レース向きのようだ。伝統のインディアナポリス500マイル(インディ500)を日本人として初めて制した佐藤琢磨のオーバルコースでの戦いもぜひ見てみたい。

私たち日本人も「不要不急の外出自粛」を自治体などから強く求められている。先が見えず制限が多い自宅での生活にストレスがたまってしまいがちだが、こうしたeスポーツ・レース観戦などで息抜きして乗り切りたい。(モータースポーツジャーナリスト・田口浩次)