新型コロナウイルスの感染拡大は、ボクシング界にもかなりの影響を及ぼしている。

まず4月25日、米ネバダ州ラスベガスで予定されていた世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)バンタム級統一王者の井上尚弥(大橋)が世界ボクシング機構(WBO)同級王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)を相手にした3団体統一戦の延期がファンを落胆させた。

人気、実力とも絶頂の井上が、本場で強打のカシメロをどうさばくのか。世界中が注目していた一戦だけにむなしさは否めない。

しかし、10日に27歳の誕生日を迎えた男は冷静に受け止めている。

「世界的な状況を考えると仕方ない。スキルを落とさないよう6割程度で練習を進めている」とマイペースを崩さず、統一戦に備えている。

プロデビューして8年。世界3階級制覇など破竹の快進撃が続いており、「想像を超えるキャリアを築いている」と心身ともに充実のコメント。「カシメロも気合が入っているが、それ以上の気持ちで臨む」と決意を語った。

国内興行も3月から5月末まで中止となっているが、4月4日に後楽園ホールで行われる予定だった22歳のホープ中谷潤人(M・T)のWBOフライ級王座決定戦も延期となった。

中谷は長身のサウスポー。左ストレート、フックに威力を秘め、戦績も20戦全勝(15KO)とパワーが魅力だ。

三重県出身で、中学卒業後に単身渡米して武者修行を積んだ異色のキャリアがある。焦らずに試合日の決定を待ちたい。

また、日本ライトフライ級チャンピオン高橋悠斗(白井・具志堅スポーツジム)が4月3日、タイトル返上と現役引退を発表したのには驚かされた。

高橋は昨年10月に新王者になったばかり。1度も防衛戦を行うことなく引退とは本人も悩んだことだろう。「試合の延期が重なり、気持ちの維持が難しい」と返上の理由を説明した。

新たな動きもあった。ミニマム級で世界主要4団体の王座に就き、東京五輪挑戦のためアマチュアに転向、その後プロに再転向した高山勝成(寝屋川石田)は、ライセンスが自動失効する37歳の誕生日(5月12日)までに試合をすれば更新が可能だった。

そのため5月10日に試合を組んでいたが、中止に。そこで定年延長の嘆願書を提出、日本ボクシングコミッションも救済の意向を示した。

高山は「チャンスを与えていただき感謝している。ベストで闘えるよう準備する」と語った。(津江章二)