世界ボクシング協会(WBA)ミドル級チャンピオン村田諒太(帝拳)が、12月にも国内で世界4階級制覇王者サウル・アルバレス(メキシコ)と対戦する可能性が高まってきた。

米国のメディアが帝拳ジムの本田明彦会長とアルバレス側との間で基本的に合意していると報じた。

実現すれば日本ボクシング史上、最大級の興行になることは間違いない。

その前に両陣営にはクリアすべき試合がある。

アルバレスは5月と9月に試合を計画しており、村田も6月ごろに防衛戦を予定している。

特にアルバレスの対戦相手の中には実績豊富なゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の名前も挙がっている。夢の実現に向け、内容のある試合で勝利できるかが問われる。

アルバレスはカネロ(赤毛)の愛称で知られるスーパースター。仮に体重が同一で闘った場合のパウンド・フォー・パウンドのランキングでベスト3に入る実力者と言われる。

2011年に世界ボクシング評議会(WBC)スーパーウエルター級王座を獲得、その後、ミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級を制している。

左右フックが武器で、スタミナも十分でタフネスも兼ね備えている。戦績は53勝(35KO)1敗2分け。年齢も29歳で、円熟期を迎えた感がある。

村田はエリートコースを歩んできた。2012年ロンドン五輪のミドル級で金メダルを獲得、13年プロに転向した。

17年10月、世界ミドル級王座に就き、18年10月、判定負けで王座を失ったが、19年7月、2回TKO勝ちで王座を奪還した。

初防衛戦でも一方的なTKO勝ちで実力を示した。試合運びに積極性が加わり、凄みが増している。戦績は16勝(13KO)2敗。

年齢は34歳だが、ファイティングスピリットは健在。“闘う哲学者"の愛称がぴったりくる理論派でもある。

試合は空前の人気を呼ぶのではないか。全階級を通じ屈指の技量を誇るアルバレスか、プロ、アマの両方で頂点を極めた村田か。初回の開始ゴングからスリル満点の攻防が展開されるはずだ。

アルバレス有利という予想が順当ではあるが、村田の集中力は並ではない。筋書きのないドラマこそ、ボクシングの醍醐味。果たして、どのようなフィナーレが待っているのだろうか。(津江章二)