1月も半ばを過ぎた。多くの人が新たに定めた目標に向かって進み始めていることだろう。今年の干支(えと)はネズミを表す「子」。株の世界では、「子(ね)は繁栄、丑(うし)はつまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)は跳ねる…」という感じで干支を表現していて、ねずみ年は繁栄、つまり好景気という格言があるそうだ。この言葉通りの景気の良い1年となってもらいたいものだ。

モータースポーツの世界も新シーズンに向け、動き始めている。10日から12日には、千葉市の幕張メッセで「東京オートサロン 2020」が開催されていた。国内最大規模を誇るカスタムカーの祭典だけあって、自動車メーカーが各カテゴリーに参戦するチームの今季体制を明らかにしたのだ。

今回は、日産(スーパーGT500クラス)とスバル(スーパーGT300クラスと全日本ラリー)、ホンダ(スーパーフォーミュラとスーパーGTの500、300両クラス)が公にした。そして、トヨタは既にリリースされていた世界ラリー選手権(WRC)の今季体制を披露した。

かつては自動車メーカーが独自に行っていたことを考えると、体制発表も様変わりした。背景には、ファンとの距離を少しでも近くして、新たなファン獲得し裾野を広げることを目指すメーカーの狙いがある。これまで長らく行ってきたファンミーティングが大切なのは言うまでも無い。しかし、東京オートサロンのように自動車ファンでにぎわうイベントは、自動車は好きだがモータースポーツには興味を持っていない人にアピールする絶好の機会となるのだ。

このことは、レーシングドライバーやチーム関係者にも良い判断だった。自動車好きの彼らが、一般客に混じってショーを楽しんでいる姿が会場の至る所で見られたのが印象に残った。

レーシングドライバーも多く参加していたが、最もビッグなゲストはトヨタのWRCチームに新加入するセバスチャン・オジェだろう。2013年から18年まで6年連続で世界チャンピオンに輝いたレジェンドは、体制披露やトークショーにとどまらず、WRCマシンに乗ってデモランまでする八面六臂(ろっぴ)の活躍ぶりで、詰めかけたファンたちにWRCの魅力を伝えていた。

そのオジェは今回の体験についてどう思っているのだろう。デモラン後に話を聞いた。

「本当に多くのファンが来場していてすごく熱気を感じたし、僕たちを歓迎してくれていてうれしい。2週間後には開幕戦のラリー・モンテカルロが始まるが、その前に来日できたことは本当に良かった」。笑顔でそう語ったオジェだったが、デモランは少し不本意な出来だったようだ。

「普段(レースで)走る狭い道ではなく、広い駐車場だったのでどう走ろうか迷ってしまった。(6速あるうちの)3速までしか使えなかったし…」

それでも、今年は本気の走りを間近で見ることができる。11月に愛知、岐阜両県で「ラリー・ジャパン」が開かれるのだ。オジェも「ラリー・ジャパンではもっと迫力の走りを約束するので、ぜひ観戦に来てもらいたい」と決意を口にした。

そのラリー・ジャパンだけでなく、F1日本グランプリや世界耐久選手権(WEC)、スーパーGT、スーパーフォーミュラと今年も多くのレースが実施される。株の格言のように、日本メーカーが活躍して、モータースポーツ界が活況を呈することを期待したい。(モータースポーツジャーナリスト・田口浩次)