バンタム級で世界戦線のトップを走る世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)同級統一王者、井上尚弥(大橋)の次戦の相手として、世界ボクシング機構(WBO)王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)が浮上してきた。

実現すれば強打者同士によるKO必至の打撃戦が予想される。

カシメロは11月30日、英国のバーミンガムで井上のライバルと見られていたWBO正規王者のゾラニ・テテ(南アフリカ)を3回TKOで破り、王座を統一した。

カシメロは3回、まず右フックで先制のダウンを奪った。テテは何とか立ち上がったがダメージは深く、一気の連打で仕留められた。

会心の勝利にカシメロは「次は井上とやりたい」と明言。バンタム級の真の世界一の座へ意欲を示した。

折しも12月上旬、東京でWBO総会が開かれた。

この場でWBOのフランシスコ・バルカルセル会長は、井上―カシメロの3団体統一戦を後押しすることを明らかにした。

井上もカシメロ戦を熱望しており、マッチメーク等の条件がクリアされれば実現の可能性は高いだろう。同会長は「タフなファイトを期待している」と語った。

カシメロの実力はお墨付き。2019年にライトフライ級、フライ級に続く3階級制覇を達成し、勢いがある。

テテ戦は厳しい予想もあったが、3回に持ち前のパワーを爆発させた。戦績も29勝(20KO)4敗とKO率も高く、オーソドックスで好戦的なファイターとして評価されている。

プロモーターは国民的英雄のマニー・パッキャオ。親日家のパッキャオでもあり、交渉がスムーズに運ぶことを期待したい。

井上は今や世界的なスターといえるだろう。

11月には「現代の伝説」と表現されるノニト・ドネア(フィリピン)を判定で下し、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)を制した。

2回、右目上を大きくカットするピンチに見舞われたが、11回には痛烈なダウンを奪うなど根性も並ではないことを証明した。

多くの海外メディアが体重同一時の強さを争うパウンド・フォー・パウンド(PFP)の上位にランクしている。戦績は19勝(16KO)無敗。

試合はスリリングな打ち合いになるのは間違いない。

右目上のカットが完治していることを条件に、やはり井上の総合力が勝るのではないか。左ジャブを伸ばしながら機をうかがい、カシメロのガードを突き破るシーンが浮かんでくる。(津江章二)