11月14日、経団連は大手企業の「冬のボーナス」についての妥結状況(第1回集計分)を発表した。それによると、平均妥結額は96万4543円と2年連続で過去最高を更新したという。しかし、いわゆる「米中貿易戦争」による世界経済の停滞や後退の恐れが消えないなど、先行きには不安もある。

こうした経済状況に大きく左右されるのが、文化事業やスポーツ事業だ。中でもモータースポーツはその筆頭といえる。その活況は経済状況と密接にリンクしている。そのため、F1を筆頭に予算規模が大きい世界選手権レベルのカテゴリーは今後、厳しいニュースが増えるのではないかと心配されている。

そんな状況の中、朗報が日本モータースポーツ界にもたらされた。世界ラリー選手権(WRC)の「ラリー・ジャパン」が来季、10年ぶりに復活することが9月、決まったのだ。2004年から10年まで開催されていた北海道から愛知・岐阜の両県へと舞台を移し、20年シーズンの最終戦として11月19~22日に開催を予定している。今月7~10日には、テストイベントとして「セントラルラリー愛知・岐阜2019」が開催された。

その後、20日にWRCシーズン報告会で日本に来日した「TOYOTA GAZOO Racing」所属のドライバーたちも、来年のラリー・ジャパン復活を期待していると口をそろえる。今季、前人未到となるWRC200戦出走したベテランドライバーのヤリーマティ・ラトバラはかつて目にしたという日本独特の応援風景が楽しみだと話した。

「私は10年前まで北海道の札幌で開催されていた『ラリー・ジャパン』にも参加しました。その時に驚いたのは、タイムを競うSS(スペシャルステージ)とSSの間を移動する一般道のリエゾン区間に、多くのファンが待っていてくれたことです。中には、さまざまな格好にコスプレしているファンがいて、あれは日本独特だなと思いました。来年の『ラリー・ジャパン』でも、またコスプレしたファンがいっぱい来てくれると期待しています」

今季、初のワールドチャンピオンを獲得したオット・タナクの(ルートのナビゲーションを始めとする走行の手伝いをする)コ・ドライバーを務めているマルティン・ヤルヴェオヤは、WRCドライバーの走りを注目ポイントとして挙げる。

「ラリーは皆さんが普段走る一般公道を走ります。多くの方が免許を持ち、クルマを運転していると思いますが、その普通の運転をする皆さんと、ここに座っている“普通じゃない"ドライバーたちの運転との違いに驚いてもらえるとうれしいです」

先述したように、モータースポーツはその時その時の景気に大きく影響される。しかし、F1のイタリアGPやラリー・アルゼンチンのように、幾度も訪れた不況による危機を乗り越えてレースを開催し続けている所もある。それを下支えしているのは何か?

ファンの熱意だ。

ただ純粋にレースを楽しみ、愛し続ける。そんなファンの存在があるから、チームや企業も不況下にもかかわらず、参戦継続の可能性を必死になって探るのだ。今回の「ラリー・ジャパン」が復活した背景にも、愛知県新城市で全日本ラリー選手権(JRC)の新城ラリーを開催し続けてきた地元ファンたちの熱い思いがあった。

「ラリー・ジャパン」の復活やF1日本GPの開催は、やはりファンあってのもの。日本が熱狂に包まれたラグビー・ワールドカップ(W杯)のように、その熱意で世界中に日本で開催する素晴らしさを伝えていきたいものだ。(モータージャーナリスト・田口浩次)