プロ野球のヤクルトを担当して2年目が終わった。

チームは最下位に沈んでしまったが、今年も数々の熱戦を目の当たりにすることができた。選手やチーム関係者には感謝とねぎらいの言葉しかない。

プロ野球はポストシーズンに突入。この時期の恒例行事となるのが、ベストナイン、ゴールデングラブ、MVP、新人王などの投票だ。

個人的な意見だが、各賞の投票内容を公表すべきではないかと思っている。

100人の記者がいれば、100通りの野球の見方があり、12球団それぞれに多くのファンがいる以上、誰もが納得する完全な正解はないと思う。

各賞に対する投票はオールスター戦とは違う。レギュラーシーズンで好成績を残したことに対する評価によって行われ、努めて公平であるべきで、投票者の利益や好みは関係ない。

新人王とベストナインの投票締め切りは10月19日(日本シリーズ開幕日)。ポストシーズンの成績は関係ない。

米大リーグでは全米野球記者協会(BBWAA)がどの記者・ライターがどの選手に投票したのかをウェブ上で公開している。

日本ではこれまで、どの選手に何票入ったかは公表されても、どの記者がどの選手に入れたかは非公表。公表する義務は今のところないが、求められれば説明できるだけの理由を持つべきだと思う。

ほとんどの記者は担当するチームの選手との良好な関係を築きたい。だからこそ、迷ったら愛着のある方に投票してしまうかもしれない。

また、担当しているチームの選手が選ばれれば、その話題によって視聴率や新聞、雑誌の売り上げなどにつながることもある。

もちろん少数意見を否定するつもりはないが、首をかしげるような投票結果は日米問わず、過去にあったように記憶している。

今回セ・リーグしか投票権を持たない私の投票内容は以下の通りだ。

MVP 1位 坂本勇人(巨人)

2位 鈴木誠也(広島)

3位 山口俊(巨人)

新人王 村上宗隆(ヤクルト)

投 手 山口俊(巨人)

捕 手 会沢翼(広島)

一塁手 ダヤン・ビシエド(中日)

二塁手 山田哲人(ヤクルト)

三塁手 岡本和真(巨人)

遊撃手 坂本勇人(巨人)

外野手 鈴木誠也(広島)

ネフタリ・ソト(DeNA)

丸佳浩(巨人)

MVPは遊撃で残した成績の素晴らしさに加え、主将としてチームを優勝に導いたことを考慮した。

新人王に関しては本塁打と打点が突出していることはもちろん、出塁率でも近本光司(阪神)を上回ったことから村上に入れた。

ハイレベルな争いで、近本が残した安打数や盗塁数は素晴らしく、村上がいなければ近本に投票していた。

記者投票に関しては考慮すべき点があると思っている。

一つは投票基準。新聞紙上では野球のデータ分析手法「セイバーメトリクス」などは使用しにくい。通信社・新聞社や放送局は独自で算出せず、データ専門会社とも契約していないところが多い。

紙面上の字数や放送時間には制限もあり、世間への浸透もまだまだで、導入は簡単ではない。

それでも総合的な勝利への貢献度を示す「WAR」や、守備の評価に使用される「UZR」など、参考になる指標はたくさんあり、単純成績だけで判断するよりも投票理由に説得力が増すはずだ。

もっとも指標だけで判断するのならば、記者投票など意味がなくなってしまうが…。

もう一つは投票権。「5シーズン以上プロ野球を担当すること」で投票権を得られるが、それに納得できない人もいるかもしれないし、説得力のある理由を明示できる自信のあるライターやデータ専門家もいるだろう。

もちろん、むやみやたらに投票権を与えることにもリスクがある。また、公表するならその労力は誰が担うのか。もちろん、簡単ではないのは承知している。

たかが1票、されど1票。今年も投票結果に満足する人、しない人が出る。選手の奮闘に応えるためにも真摯な姿勢で投票したい。

小泉 智(こいずみ・さとる)プロフィル

2007年共同通信入社。福岡運動部、大阪運動部を経て、12年からニューヨーク支局で大リーグをカバー。16年1月に本社運動部に異動し、プロ野球のDeNA、18年からヤクルトを担当。東京都出身。