サッカーの女子ワールドカップ(W杯)フランス大会が6月に開幕する。

2011年に優勝、2015年に準優勝という輝かしい実績を残してきた日本代表「なでしこジャパン」は、4年でメンバーが様変わりした。

16年リオデジャネイロ五輪出場を逃したことで世間の注目が薄れてしまった感もある中、世界一奪還に挑むチームの見どころを三つの数字で紹介したい。

まずは「23・1」。フランス、ドイツと対戦した4月の欧州遠征のメンバー22人の平均年齢だ。

本大会では、今回呼ばれていないベテラン数人が食い込むことが予想されるが、前回15年W杯メンバーの平均年齢が27・7歳だから、大幅な若返りであることは間違いない。

リオ五輪出場を逸した後、フル代表では男女を通じて初の女性監督として、各年代別代表を率いてきた高倉麻子監督が就任した。

若い選手はちょっとしたきっかけで大きな変貌を遂げることを熟知しており、若手を積極的に組み込んで世代交代を進めた。

大半の選手を10代から知っているだけに「(育成年代で)強いドイツにも米国にも勝っている。ドイツだって米国だって何ともないと(若手は)思っているかもしれない」と言う。

14年、高倉監督の下でU―17(17歳以下)W杯で世界一に輝いた22歳の長谷川唯(日テレ)は攻撃をけん引する存在に成長し、杉田妃和(INAC神戸)はボランチで頭角を現した。

右サイドバックのレギュラーに定着した清水梨紗や、流れを変えるアタッカーの籾木結花(ともに日テレ)らも同世代。生きのいい20代前半の選手が要所を担っている。

二つ目の数字は「0」。複数人が連動して崩すサッカーを志向しているが、その戦いぶりには不安が残る。

“高倉ジャパン"の全43戦で、逆転勝ちはゼロ。さらに国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで日本より上のチームに勝ったことは、1度しかない。

速さや強さを前面に押し出した攻撃に耐えきれずに失点し、ひっくり返せないのが負けパターン。立ち上がりの失点も多く、克服すべき課題は明白だ。

11年や15年はお家芸のパスワークよりもむしろ、劣勢時の驚異的な粘り強さが決勝進出の要因だったように思う。なでしこ伝統の、逆境での反発力をどれだけ醸成できるかが、W杯では大きな鍵となるだろう。

最後の数字は「4」。主将のセンターバック熊谷紗希の背番号だ。

所属するリヨン(フランス)は昨季、女子欧州チャンピオンズリーグ3連覇を達成した強豪で、フランスやイングランドなど各国代表がひしめく。

競技人口や規模にはもちろん大きな差があるが、男子で言えばレアル・マドリードやバルセロナ(ともにスペイン)で日本人選手が活躍するようなレベルだ。

世界屈指のクラブで守備的MFの主力を担い「毎日の練習が何より楽しい」と堂々と話す姿は頼もしい。

23人のW杯メンバーは5月に発表される見込みだが、W杯経験者は熊谷を含めて5人前後しか入らないと筆者は予想している。

28歳で既に代表出場が100試合を超え、W杯は3度目となる熊谷には、否が応でも大黒柱としての期待がかかる。

なでしこジャパンは親善試合で欧米勢に苦戦し続けており、厳しい戦いは免れないだろう。

知名度で言えば、現在の若手代表選手よりも、澤穂希さんをはじめとした11年W杯優勝メンバーの方がいまだに高いのも事実だ。

ただ、大会中もぐんぐん成長する余地を大きく残しているチームである。

「世間的に、なでしこジャパンって2011年のあのメンバーだけだと思われている。自分がなでしこジャパンでプレーしていて、すごく悔しい思いがある。それを超えたい」という籾木の言葉は印象的だ。

夏のフランスで、“新しいなでしこ"の行方を見守りたい。

大沢 祥平(おおさわ・しょうへい)プロフィル

2011年共同通信入社。福井支局を経て、福岡運動部ではプロ野球ソフトバンク、大阪運動部では阪神やJ1の神戸、C大阪などを取材。18年から本社運動部でサッカーを担当し、19年から女子もカバーしている。埼玉県出身。