現役をいつまで続けるのか。スポーツ選手にとって難しい問題だ。

先月の3月21日に、米大リーグのマリナーズに所属していたイチロー選手が、東京ドームで行われたアスレチックスとの開幕第2戦を終えて、現役引退を発表した。一方、サッカーの三浦知良選手はJ2・横浜FCの選手として、52歳となった今年もプロ選手契約を継続している。そして、4月14日には43歳のタイガー・ウッズ選手が、男子ゴルフのメジャー大会であるマスターズ・トーナメントを14年ぶりに制覇。奇跡の復活劇を果たした。

プロスポーツ選手は契約があって初めてプロでいられる。実力が衰えたなら、いくら本人が望んでも継続はできないし、ゴルフのようなツアー大会はランキングが落ちれば出場自体が出来なくなる。それだけに、40歳という年齢を超えて、大リーグでプロ契約を継続してきたイチロー選手は突出した存在であり、現在も現役を継続している三浦知良選手は偉大であり、マスターズで14年ぶり5度目の優勝を果たしたタイガー・ウッズ選手は圧巻なのだ。

そんな偉大な選手がモータースポーツにも一人いる。現在、アメリカのインディカー・シリーズを戦っているホンダの佐藤琢磨だ。1977年1月28日生まれの42歳。F1ドライバーとして、2002年から08年までジョーダン・ホンダ、BARホンダ、スーパーアグリ・ホンダで活躍した後、10年からインディカー・シリーズに戦いの舞台を移した。

インディカー・シリーズに移籍後、13年の第3戦ロングビーチで日本人としては同シリーズ初となる優勝を飾ると、17年には世界三大レースであるインディ500を日本人として初制覇してみせた。さらに18年第16戦ポートランドで優勝。そして、今月7日に行われた同シリーズ第3戦アラバマで今シーズン初、自身4勝目となる優勝を飾った。しかも、イギリスF3以来のポールトゥウインだ。

現地記者のインタビューにも、「多分、自分が勝利した中でいちばんクリーンに勝てたレースでした」と答えており、経験を重ねたベテランらしい勝利であったことを感じさせた。思えば、マスターズに勝利したウッズも、背中と腰の痛みから、以前のようにパター練習が出来なくなった分を経験で補いバランスを取っているとゴルフ記者へのインタビューで答えており、佐藤やウッズの勝利は、勝つための戦略が若さだけではないことを証明した。

今季、F1ではレッドブル・ホンダが好調なスタートを切っているが、残念なことに日本人ドライバーはいない。それだけに、42歳という年齢を感じさせず、アメリカ最高峰のインディカー・シリーズの第一線で戦う佐藤の走りに今後も大いに注目していきたい。(モータージャーナリスト・田口浩次)