昨年の平昌冬季五輪カーリング女子で日本勢史上最高の3位となり、大きな注目を集めたロコ・ソラーレの選手が、ことし2月に札幌市で開催された日本選手権に2大会ぶりに出場した。

昨年は五輪への調整を優先させる日本協会の方針で、出場はかなわなかった。

司令塔役のスキップ藤沢五月は開幕前に「海外遠征をしていて、日本での公式戦は今季初めて。久々の試合をたくさんの人に楽しんでもらいたいし、バージョンアップした私たちを見せられるよう頑張りたい」と意気込んでいた。

だが、結果は決勝で敗れて準優勝。サード吉田知那美は「しっかり分析されているのを肌で感じた」と、五輪メダリストとして挑まれる立場の難しさを実感していた。

中部電力との決勝は3―11で大敗した。同点の第5エンドに藤沢のショットが狙いを外れるなど、ミスが出て痛恨の大量4失点で崩れた。

1次リーグ、プレーオフ1回戦に続いての黒星で、1大会で同じ相手に3戦全敗という結果にショックは隠せず藤沢、吉田知は涙を流した。

吉田姉妹の妹で、リードの吉田夕梨花は「相手が上手だった。女子のレベルが上がっているのを肌で感じた」と敗戦を受け入れつつ、「日本で勝つという方法をもう少し私たちは勉強すべきだった。日本での戦い方と世界での戦い方のプラン、引き出しの豊富さを考えないと」と振り返った。

今季は五輪銅メダルなどの実績が認められ、海外遠征でもランクの高い大会に出場し、カーリング大国カナダなど世界の強豪チームと対戦する機会を重ね、上位に顔を出す機会も増えた。

昨年12月のワールドカップ(W杯)第2戦では平昌五輪で金メダルを獲得したスウェーデンのチームを破るなどの快進撃で日本勢初優勝を飾った。

目標に掲げる「世界トップの中のトップ」へ向け、着実に前進していた。

だが、遠征中の試合日程や休息の都合で、日本選手権までに国内大会に出る機会に恵まれなかった。

そして結果的に国内の競争で足をすくわれ、熱望する世界一を懸けた世界選手権(3月・デンマーク)日本代表を手にできなかった。

「海外のチームとは何度も対戦して対策はしっかりつくっていたが、その分、日本での大会に出なかったので(日本のほかチームの)成長したスタイルに合わせた対策をすることができなかった。自分たちのスタイルを考え直させられた」と藤沢。セカンドの鈴木夕湖は「自分たちがどうこうというより、相手を見て戦うということが大切になってくるような段階にきていると感じた」と話した。

これまで、ロコ・ソラーレの選手は「相手は関係なく、自分たちのやりたいカーリングをするだけ」を合言葉のように繰り返し、戦い方の軸をぶらさないことに集中してきた。

ただ、日本国内の有力チームは次の2022年北京冬季五輪出場を目指して「打倒ロコ・ソラーレ」を強く意識して挑んでくる。

今まで以上に対戦相手に応じた戦略の幅を備えた上で、相手の分析や研究を上回る力を示すことが必要になるだろう。

今回日本一になった中部電力は、平昌五輪日本代表決定戦でロコ・ソラーレに屈した。中部電力のリーダー役の松村千秋は「日本人として、メダルを取った時はうれしかったし、自分たちが出ていたかもしれない舞台。そこに出たいと感じた」と平昌五輪でのライバルの活躍に刺激を受けた。

2014年ソチ五輪代表の北海道銀行は、今季は吉村紗也香を新スキップに据えた新体制で世界ツアーの大会で優勝を経験した。昨年の日本女王となった富士急も含め、この3チームは平昌五輪代表争いで敗れた悔しさを胸に、北京五輪出場を目指し急速に力をつけている。

吉田知は「日本でいい試合ができるようになったのは五輪が終わってから環境が変わったから。負けたこと自体は悔しいが、考えもしていなかった素晴らしい状況」と女子カーリング界全体の競技力向上に目を向けた。

ロコ・ソラーレにとっても今回の苦杯や日本国内で切磋琢磨できる環境は、さらなる飛躍への大きな糧となるはずだ。

今後は、W杯で好成績を残したチームで争われるW杯グランドファイナル(5月・北京)などに出場を予定しており、世界トップを目指す戦いはこの先も続く。

藤沢は「(日本選手権は)進むべき道、何が足りないかが分かった大会だったので、この負けを生かして練習してもっとレベルを上げていきたい」と語気を強めた。

伊藤 貴生(いとう・たかお)プロフィル

他社での記者経験を経て2005年に共同通信入社。3年間、札幌支社でプロ野球日本ハムを担当。本社運動部、名古屋支社運動部を経て、15年5月から本社運動部でアマ野球、ボクシングなどをカバーしている。鳥取県出身。