日本野球機構(NPB)が先日、2018年の観客動員を発表した。それによると、セ・パ両リーグの公式戦全858試合に史上最多となる2555万719人(前年度2513万9463人)の観客が訪れたという。サッカーも同様に好調だった。J1の今季観客動員は583万3538人と、こちらも577万8178人だった前年を上回り、08年度にJ1として記録した過去最高(587万5865人)にほぼ並んだ。

他にも、バスケットのBリーグは3シーズン目を迎えすっかり定着したと言える。そして、今年10月には卓球のTリーグもスタートした。このように、スポーツ観戦の裾野はどんどん広がってきている。さらに、19年にはラグビーのワールドカップ(W杯)、20年には東京五輪・パラリンピックと、国際大会が相次いで開催される。それゆえ、コンテンツとしてのスポーツの価値やスポーツ観戦という市場が今後も拡大していくことは間違いないだろう。

日本で広がるスポーツ観戦市場に、これまで乗り遅れていたのがモータースポーツ界だ。代表例が、F1日本グランプリ(GP)の入場者数。06年に36万1000人(レース開催3日間の合計)を記録したあとは、一時的に回復することこそあったが、減少傾向に歯止めがかかることはなかった。結果、昨年は3日間の総数が過去最低となる13万7000人まで落ち込んだ。わずか10年あまりで6割以上も減ったことになる。前述した他スポーツと比較すると“異常"と表現していい事態だ。

それが今年は16万5000人に回復。続いていた低迷に「底を打った」感がある。加えて、国内レースでも明るい話題があった。国内レースで最も高い集客力を誇るスーパーGTは、最終戦までもつれた年間チャンピオン争いで大いに盛り上がっただけでなく、09年のF1総合王者ジェンソン・バトン(英国)が加入したことでも話題を呼んだ。また、スーパーフォーミュラも16年にストフェル・バンドーン(ベルギー)、17年にピエール・ガスリー(フランス)と2年連続でF1ドライバーを輩出したことで注目された。

19年以降、モータースポーツ人気が本格的に復活する―。そう確信させる兆しがあちこちで現れている。F1では、ホンダがついに有力チームのレッドブルとエンジン契約を結び、ファンから熱い期待が寄せられている。スーパーフォーミュラは多くのF1へのステップアップに最適なカテゴリーだと、F1を始めとするレース関係者から認識されており、F1のファンも未来のドライバーを探そうと観戦に訪れるようになってきた。また、スーパーGTや世界耐久選手権(WEC)には、元F1ドライバーが数多く参戦するようになってカテゴリー自体の魅力が増加している。そして、トヨタが活躍する世界ラリー選手権(WRC)。残念ながら日本開催の復活はならなかったものの、トヨタの今季の製造者部門を制したことで、ファンが戻りつつある。

このように、モータースポーツの全カテゴリーで底上げが感じられるのだ。「2018年は転機の年だった」。5年後、10年後にそう思われるくらいモータースポーツ人気が復活することを期待しながら、年の瀬を過ごしたい。(モータースポーツジャーナリスト・田口浩次)