12月30日、東京・大田区総合体育館でトリプル世界戦が行われる。

注目したいのが世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級暫定王座決定戦に出場する同級4位、井上拓真(大橋)だ。

兄はスター街道を快走する世界ボクシング協会(WBA)同級チャンピオンの井上尚弥(大橋)。井上拓が勝てば日本では2例目の兄弟世界王者誕生となる。

「必ず勝って小さいころの夢をかなえたい」。22歳のホープは力強く勝利を宣言した。

9月11日、東京・後楽園ホールで前哨戦ともいうべき指名挑戦者決定12回戦に臨んだ。

世界という大舞台を踏むためには絶対に負けられない一戦だった。

相手はWBC3位のマーク・ジョン・ヤップ(六島)。井上拓は初回からカウンターを狙い、5回には左フックでダウンを奪った。

9回には左フックを浴び、危ないシーンもあったが、序盤の貯金を生かし、3―0の判定勝ちを収めた。

戦績を12連勝(3KO)と伸ばし、念願の世界戦への切符を手に入れた。課題に「ディフェンスと集中力」を挙げ、最後の調整に励んでいる。

井上拓は兄と同じようにアマチュアで活躍した後、2013年12月、判定勝ちでプロデビューを果たした。

15年7月には東洋太平洋(OPBF)スーパーフライ級王座を獲得。16年12月、初の世界挑戦が決まった。

しかし、練習中に右拳を負傷し、世界戦は中止。大きな挫折を味わった。17年、約1年ぶりにカムバック。世界への道を再び歩き始めた。

WBC王座は日本にとっても因縁がある。山中慎介(帝拳)からタイトルを奪ったルイス・ネリ(メキシコ)が体重超過で空位になったもの。悪評高いネリのイメージを一掃し、バンタム級の魅力を取り戻すことも期待されている。

王座を争うペッチ・CP・フレッシュマート(タイ)はデビュー以来、48連勝(33KO)の快進撃を続けているが、世界的レベルとの対戦はなく、成績を額面通り受け取らなくてもいいだろう。

井上尚は弟について「(前哨戦は)結果がすべて。勝ちに徹していた。ただ、自分で倒しに行く場面を作ってほしい」と話している。

確かにKO率が低いのは気になるところか。本人は「兄と同じ階級で頂点に立ちたい」と意欲十分だ。

スタートから持ち前のスピード豊かなコンビネーションでペースを握ることができるか。世界戦というプレッシャーをどう克服するかも見もの。ゴングが待たれる。(津江章二)