文部科学、厚生労働両省は16日に今春卒業予定の大学生の就職内定率が2月1日現在で昨年同時期と比べて0・6ポイント増の91・2%となり、この時期のデータがある2000年以降で最高だったと発表した。このままいけば、昨年の就職内定率97・6%を超えることは確実だろう。若い世代の雇用が安定することが、どれだけ社会に重要なのかは言うまでもない。彼らが力を発揮できる環境こそが、新しいイノベーションを生み出すからだ。

実はF1の世界でも、その後に主役となる「新しい力」が現れる時期が定期的に訪れる。そのときに重要なことがある。所属するチームが、例え小規模であっても若々しい才能が集まり、活気あふれるチームであるかどうか。実はそんなことが2008年シーズンにあった。当時のトロロッソ・フェラーリだ。

トロロッソは、レッドブルのセカンドチーム。若手を積極的に起用し、そこで頭角を現したものがレッドブルへ“昇格"していく。この年、そのトロロッソにフル参戦ドライバーとして加入したのが、後に4度世界王者を獲得することになるセバスチャン・フェテルだ。フェテルは、07年にBMWザウバーとトロロッソでスポット参戦すると、初出走した米国グランプリ(GP)で当時の史上最年少記録となる20歳67日での入賞を果たすなどの結果を残して、08年のシートを得ることに成功した。すると、同年9月に行われた第14戦イタリアGPで、レッドブルもその時点では成し遂げていなかった初優勝をチームにもたらした。両チームのオーナーであるディートリヒ・マテシッツが満面の笑みでお祝いするレース後のパドックは、ファーストチームの立場が完全に逆転していた。

その後、レッドブルは移籍してきたフェテルとともに大成功し、現在もトップチームの一角となっている。

そして今シーズン、再びトロロッソに注目が集まっている。それが、昨シーズンのシンガポールGPで発表されたホンダと結んだPU(パワーユニット)契約だ。ホンダは15年からマクラーレン・ホンダとしてF1に復帰。注目を集めてきたが、これまでの3シーズンは一度も表彰台に上がることなく、パートナーシップを解消されるという厳しい状況にある。しかし、ホンダとレッドブルは、オートバイの世界最高峰であるモトGPや日本のスーパーフォーミュラなどで非常に良好な関係を築き、結果も積み重ねてきた。なにより、トロロッソは物事を包み隠すことなくオープンに付き合う姿勢を持っている。それは、ホンダが過去の栄光にとらわれすぎてエリート意識が抜けないマクラーレンにこそ望んでいた姿かもしれない。

ドライバーもピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーという、昨季はスポット参戦でF1デビューし、フル参戦は今季が初めてというフレッシュな顔ぶれ。まさに08年シーズンのトロロッソとフェテルを思い起こさせる雰囲気がある。まずは、25日に決勝が行われる開幕戦オーストラリアGPで2人がどのような走りを見せ、結果を出すのか。そして、トロロッソ・ホンダは飛躍することができるのか。注目していきたい。(モータージャーナリスト・田口浩次)