平昌冬季五輪で、日本は1998年長野五輪を上回り冬季大会最多となるメダルを獲得。選手たちの活躍で2年後の東京五輪に向けても大きく弾みがついただろう。同時に、多くの子供たちが五輪選手を目指すきっかけを作ったに違いない。

躍動する選手にあこがれ、その選手を目指す―。どんなスポーツであっても、それは競技に没頭する大きな理由となる。このことはモータースポーツでも言える。あこがれるのは、もちろん世界最高レベルのドライバーたちになるだろう。だが、そこに日本人ドライバーが居れば、さらになる励みになることは言うまでもない。

だからこそ、世界最高峰レベルで戦う新たな日本人ドライバーの登場が待たれる。そんな中、日本中が盛り上がるであろう2020年ごろに世界ラリー選手権(WRC)やF1を舞台に戦うことが有望視される日本人ドライバーがいる。

その一人が、WRCの一つ下のクラスに当たるWRC2に参戦している勝田貴元。18日にゴールを迎えたラリー・スウェーデンのWRC2クラスで初優勝を果たした。WRCに参戦できる日本人ドライバーを育成するトヨタのプログラムに参加している勝田。難しいとされる雪道ラリーを制した実力に加え、明るいキャラクターもメディアから評価されている。

そして、チームメートの新井大輝もWRCへのステップアップを目指している。ともに24歳の二人はとも父親が日本トップレベルのラリードライバー。「日本ラリー界のサラブレッド」といえる彼らは今、日本人初のWRCフル参戦ドライバーを目標に切磋琢磨(せっさたくま)している。

そして、フォーミュラカーレースでも2人の若者がF1で戦うことを目標に奮闘している。今季からF1の一つ下のクラスであるF2に参戦する、21歳の福住仁嶺と20歳の牧野任祐だ。2人はホンダの支援を受けているだけに、F2で結果を残せばF1へのチャンスが大きく開くことになる。

F1では今季から「グリッドガール」が廃止され、代わって「グリッドキッズ」が採用された。レースでトップドライバーに会う経験が夢を生むとF1運営者は言うが、本当に子供たちに夢を与えるのはドライバーの走りそのものではないだろうか。オリンピック競技を見て、選手に憧れるのと同じで、彼らの走りに触れることで夢を持つ子どもは必ずいるはずだ。

どちらのカテゴリーも、最後のステップアップは容易ではない。好成績を残すことはもちろんだが、速さやうまさといったそれ以上の何かが必要だからだ。それでも、この若き日本人ドライバーたちが夢をつかみ、さらに次世代のモータースポーツを夢見る子供たちを生み出してほしい。(モータージャーナリスト・田口浩次)