97回目を迎えた全国高校ラグビー大会は、大阪勢の決勝対決で東海大仰星が大阪桐蔭を27―20で破り、2大会ぶり5度目の頂点に立った。

伝統校、常連校の戦いぶりは見応えがあったが、個人的には今大会唯一の初出場校、昌平(埼玉)が印象に残った。

昌平の花園デビューは、常連校の国学院栃木でコーチを務めていた御代田誠監督が2008年に就任してから10年目の節目に達成された。

就任当時は部員が3人で、校門に立って部員を勧誘するところからスタートしたという。その後グラウンドは人工芝となり、指導陣も増えた。他県の選手も勧誘するなど奔走し、力をつけていった。

埼玉県では近年、トップリーグのパナソニックで活躍する山沢拓也らを輩出した深谷が君臨している。昌平は14年には代表決定戦まで進んだが、その深谷に敗れた。

今季は「(やれることは)全てやった」と指揮官は語る。ライバル校のトレーニング方法を試し、県外の強豪校とも練習試合を組んだ。夏合宿は期間を延長し、試合を振り返るミーティングの前には各選手がビデオで予習を行うなどした。

グラウンドで注力したのは防御と走力。背が高くないFWが対抗するための策だった。

一人では倒しきれない相手に対応するため、二人目もすかさず入る「ダブルタックル」を徹底。合宿では200キロ以上走った選手もいたという。

深谷との代表決定戦では、粘り強さを発揮して終了間際に逆転。全国大会への切符をつかんだ。

ロックの岡田大生主将は大会開幕を前に「やっぱり高校ラグビーの聖地。そこに立てるのは光栄だし、ありがたい」と感慨深そうに話した。そして、1回戦は八幡工(滋賀)に26―22で競り勝ち、初勝利を手にした。

2回戦の相手は前回王者でAシードの東福岡だった。

前半、昌平は鍛えてきた防御で観客を沸かせた。グラウンドいっぱいにボールを運ばれても、しつこくタックルを繰り返した。相手のキックをブロックしてトライも奪い7―14で折り返した。善戦だった。

だが、後半は立て続けにトライを許し、結局7―68で敗れた。それでも、岡田主将は「胸を張って帰りたい」とすがすがしかった。御代田監督も「よくやってくれた」とたたえ「来年はもっと走るぞ、と話しました。300キロですね」。

昌平の3年生は、14年当時は中学3年生。深谷に敗れた代表決定戦を観戦した選手もいたそうで、後藤慶悟コーチは「1年生の時から、意欲的に練習していた。決勝を見ているのが大きいと思う」と評した。

その気概は後輩にも受け継がれ、2年生のSO鳥居健悟は東福岡戦後「すごくいい経験になった。この経験を生かして、来年もさらに上にいけるよう頑張っていきたい」と涙ながらに誓っていた。

昌平のように「聖地」で大きな経験を積んだ学校もあれば、深谷のように次回の雪辱を期す学校も多いことだろう。

19年のワールドカップ(W杯)初開催が迫る日本ラグビー界で、高校生たちが次はどんなプレーを見せてくれるのか、楽しみだ。

吉田 篤史(よしだ・あつし)10年共同通信入社。秋田、埼玉、福岡の支社局で事件取材などを担当し、17年5月から大阪支社運動部でラグビーなどを担当。埼玉県出身。