日本中量級界の期待を担った尾川堅一(帝拳)は12月9日、米ラスベガスでテビン・ファーマー(米国)と国際ボクシング連盟(IBF)スーパーフェザー級王座決定戦を行い、2―1の判定勝ちを収め、新王者となった。

日本選手が本場米国で世界王座を獲得するのは1981年の三原正以来、36年ぶり5人目の快挙。破格のハードパンチに定評のある尾川が今後、並み居る強豪を相手にどう防衛戦を闘うのか、実に興味深い。

右ボクサーファイターの尾川は、ゴングとともに得意の右ストレートを繰り出し、序盤は攻勢を取った。ファーマーは強打を警戒して、ロープを背に動き回る。

その相手に中盤は逆にカウンター攻撃を許した。9回以降、あくまで右ストレートにこだわり、ポイントを奪い返した。敵地ということもあり、判定は微妙に思えた。

そして、スプリットではあったが、勝利を何とかつかみ、喜びを爆発させた。「リングの上では信じられなかった。これで人生が変わる」と拳を握りしめた。

尾川は愛知県豊橋市出身。幼いころから日本拳法に親しんだ。

明大卒業後は「階級制のあるボクシングなら誰にも負けない自信がある」と帝拳ジムの門をたたいた。

当時から右の威力は抜群で全日本新人王に輝いた後、2015年に日本王者に。順調に出世を続け「将来の世界チャンピオン候補」と高い期待が寄せられた。

苦しい展開になっても右が当たればKO勝ちするパワーが自慢。確かにストレートの切れ味は見事だ。

日本人が米国で王座に就いたのは1968年、西城正三がフェザー級を奪取したのが初めて。西城は「シンデレラボーイ」と称賛された。その後、柴田国明、上原康恒、三原正と続いた。

しかし、三原の獲得以来、世界の壁は厚かった。地元判定に泣いたケースもあり、敵地というハンディは想像以上。尾川は初の海外挑戦で、しかも海外での試合も初めて。接戦が予想される中、マイペースを維持できたのが勝因だろう。

スーパーフェザー級といえば「KOダイナマイト」と呼ばれ、無敵の強さを誇った内山高志が引退したばかり。

これまでにも沼田義明、小林弘、柴田国明、畑山隆則といった歴史に残る強豪が生まれている。果たして尾川は偉大なる先輩にどこまで迫れるか。

戦績は23勝(17KO)1敗。持ち味の右ストレートをさらに磨き、暴れ回ってほしい。(津江章二)