9月中旬、千葉県船橋市内にあるバスケットボール男子Bリーグ千葉の事務所を訪ねた。

「いらっしゃいませ!」。ドアを開けるとスタッフ全員がそろって席から立ち上がり、気持ちよく迎えてくれた。聞くところによると、来客があった際にはいつもこのようにしているということだった。

2011年の発足から瞬く間に千葉が観客動員数ナンバーワンのチームになった要因は多くある。その一つがこの「おもてなしの精神」だ。

観客の視線が注がれる試合会場などの表舞台だけではなく、あらゆる場面でこの姿勢が徹底していることが大きい。

Bリーグの2年目が幕を開けた。集客はBリーグにとって引き続いての課題である。

開幕して1カ月足らずだが、実際に取材したり、SNSなどの映像で試合会場の様子を見ると、各チームともこのおもてなしの精神を形にしようと、オフシーズンから準備してきたのだろうと感じた。

昨季初代王者に輝いた栃木は本拠地の宇都宮市体育館にライティングボードを新たに埋め込んで、演出は華やかさを増した。

B2から昇格した島根は今季からプロジェクションマッピングを導入し、コート上に選手の顔などさまざまな映像を映し出してトップリーグにふさわしい演出を始めた。

その中でも千葉は際立つ。チームのスタッフもキャラクターとして確立させ、観客を楽しませるなど、独自の手法で新規ファンを開拓してきた。

試合中にモップでコート上に落ちた選手の汗を拭く“モッパー"は出番が来ると、全速力で動いて仕事を片付ける。その彼女らを「高速モッパーガールズ」として売り出した。

今季からはチアリーダーが試合がない日でも選手に代わってイベントなどに出演する。最近著書を出版するなど、その経営手腕に注目が集まっている島田慎二社長は極めつけだ。

試合会場でファン相手に気軽にサインし、雑談して笑いの輪を生んでいる。筆者は昨季のBリーグ誕生以来、全国各地に取材で足を運んだが、ほかのチームで社長のこんな場面に遭遇したことがない。

ルックスのいい広報担当者は“イケメン"広報として選手と一緒に取材を受けるなど、チーム全員がイケイケなのである。

昨季の主催試合では1試合平均4503人を動員し、国内リーグで2年連続となる入場者数日本一を達成した。

次の一手として、昨シーズンまでは集客が見込めそうな試合に限っていたプロジェクションマッピングの導入を全試合で実施することを決めた。

選手入場では大音響とともに炎が上がり、「非日常空間の提供」に労を惜しまない。

ただし演出はどこまでいっても演出でしかない。肝心なのは試合内容、選手のプレーの質、それらの魅力であることはいうまでもない。

今季はオフに各チームが積極的に補強をし、日本代表クラスの選手の移籍が相次ぐなどチーム間で戦力が拮抗している。白熱した試合が見込めるのではと感じている。

鈴木 敦史(すずき・あつし)1980年生まれ。北海道出身。2005年共同通信入社。07年からプロ野球オリックス、広島を担当。11年から遊軍、DeNA担当を経て、13年12月からバスケットボール、陸上などを取材。