9月23日から10月1日まで宮崎県日向市でサーフィンの世界ジュニア選手権が開催された。

大会は国際オリンピック委員会(IOC)の承認団体である国際サーフィン協会(ISA)の主催。これまでプロツアー「ワールド・サーフ・リーグ」が圧倒的に重視されていたサーフィン界だが、2020年東京五輪での実施競技入りを受け、過去最多の41カ国・地域から約300人が参加し、五輪に対する選手の関心が高いことを感じさせた。

日本サーフィン連盟(NSA)にISAから招致の打診があったのは昨年11月。五輪入りが決まってから、世界各国から日本のサーフィン事情について問い合わせが相次いでいたことが背景にあった。

十分な波が立つ環境など世界大会の運営能力を示すため、急な要請だったものの、NSAは快諾。サーフィンが盛んな日本各地の自治体にあたり、今年2月に日向開催が決まった。

NSAは海外からの疑問に答えるだけでなく、国内の認知度を高めることも狙った。技の難度や出来栄えを競う採点競技であることを知る人は少ない。

自然環境に大きく影響されるため、波が立たなければ日程が延期されることもしばしばあり、愛好者でなければ観戦に訪れにくいスポーツだともいえる。

NSAは今大会前、報道陣向けに競技の基本についてのセミナーを開くなど、普及の足場づくりに取り組んだ。

広報担当者は「今後もさまざまな機会をつくり、まずは競技のサーフィンを知ってもらわないといけない」と危機感をにじませる。

取材する側も手探りの部分が多く、試合中はコーチ陣の横について技の名前や作戦、勝負の分かれ目などを解説してもらいながら記事を書くのが精いっぱい。

これまで馴染みのない競技であるため、競技の情景描写や選手への質問もあれこれと試行錯誤しているところだ。

一方で良好なサーフスポットを抱える自治体はサーフィンに熱い視線を送る。

日向市は今大会の経済効果を3億円と試算。自然の浜辺を使い、大がかりな会場設営の必要もないため、開催経費は3000万円ほどでコストパフォーマンスの高いイベントとみている。

他の大会の招致を検討している自治体もあるという。東京五輪会場となる千葉県一宮町の馬淵昌也町長も視察に訪れ「五輪競技に選ばれ、認知度は決定的に上がるので、戦略的にサーフィンを街興しに使えれば」と地域振興の誘い水となる可能性に期待を寄せた。

日向市駅前で行われた開会式には約8000人が訪れた。選手が街中をパレードしたり、有志が地元発祥の「ひょっとこ踊り」を披露したり。市民を中心に祝祭的な歓迎ムードが漂い、国際交流を楽しんだ。

男子16歳以下の部で安室丈が優勝を果たし、男女の個人戦の成績をポイント化して合計点で争う国・地域別対抗で日本は過去最高の3位になるなど、競技力の高さもアピール。来日したISAのフェルナンド・アギーレ会長は「波も素晴らしく、人々は温かい。大会は成功だ」と上々の評価を口にした。

東京五輪までに再び日本で世界選手権に当たるワールドゲームズなどの開催を検討していることを明かした。

NSAの井本公文副理事長も「やっとサーフィンの世界大会をアピールできた」と手応えを示した上で、「ここからがスタート。20年までのプランをしっかり考えたい」と今回を普及の起爆剤とするつもりだ。

村形勘樹(むらかた・かんじゅ)1983年生まれ。山形県天童市出身。全国紙を経て2012年に共同通信に入社し、札幌支社を経て15年5月に運動部へ。現在は柔道やスピードスケート、サーフィンを担当している。