新たなスポーツの可能性を感じる、そんな今季の幕開けだった。

週末の土曜日、6月17日。その8日前に2020年東京五輪での実施種目に決まったばかりの3人制バスケットボールのプロリーグが開幕した。

4季目を迎えた「3x3 PREMIER.EXE」である。会場となったのは、東京都立川市の大型商業施設。屋外のイベントスペースにコートを設営し、Bリーグ初代王者の栃木傘下のチームや、地元・立川のチームなど6チームが熱戦を繰り広げ、2万1345人が観戦した。

晴天に恵まれた中、DJがリズミカルな音楽で会場の雰囲気をつくり、司会者が巧妙なマイクパフォーマンスで観客を盛り上げる。

試合間にはチアリーダーがダンスを披露したり、歌手が歌ったり、観客が参加するシュートのイベントがあったりと盛りだくさん。コートのすぐそばで観戦でき、全試合終了後にはコート内に入って選手と触れ合うこともできる。

買い物に来たついでに観戦していく家族、応援のために訪れたファン、さまざまな人たちが試合やイベントを楽しんでいた。

同じ会場で行われた昨季の開幕戦の観戦者は1万0146人で、2倍以上を集客した。

五輪での実施が決まったことで、注目度は急上昇。開幕前日に行われた記者会見にもテレビ局や記者が多数押し寄せた。

Bリーグの京都でプレーし、3人制のチームでオーナー兼選手を務める岡田優介が「すごいメディアの数。Bリーグの試合でもなかなかこれだけのメディアが集まることはない」と驚くほど。リーグの中村考昭コミッショナーは「(五輪種目に決まる)6月9日の前後で環境が大きく変わった。手応えはある」とうなずく。

「3x3 PREMIER.EXE」の特徴は、全試合無料で観戦できることだ。スポーツを観戦するためには、基本的にはチケットを購入せねばならない。

日本のプロスポーツであるプロ野球やJリーグ、そして昨年開幕したBリーグはもちろん、プロではないバレーボールのプレミアリーグやラグビーのトップリーグでもそうである。

しかし、他のスポーツとは違う収益構造を作り、無料化を実現した。

3人制バスケットボールは横15メートル、縦11メートルの半面コートを設営すれば、屋内でも屋外でも開催できる。

リーグ側は歌手や芸人のイベントと同じように有料で試合開催の誘致を受けることで一定の収入を確保。さらにスポンサー収入と各チームからのリーグ加盟料が入る。

チケット収入を一つの柱とする他のスポーツとは一線を画した。「1試合見て買い物に行って、また戻ってきて試合を見るとか、自由に楽しんでもらいたい。スポーツを、お金を溜めて見に行くものではなく、もっと身近で、日常に溶け込んでいるものにしたい」と中村コミッショナーは言葉に力を込める。

試合に出場した選手にはリーグ側から報酬が支払われ、さらに順位によってチームに賞金が入る。

チーム側はスポンサーやユニホームの広告料などが主な収益となっており、これらで練習会場の確保や移動費などをまかなっている。

また、シーズンが約3カ月と短いことから、チームは年間を通して選手を保有せずにすむ。選手は他にも仕事を持っており、チームを持つための費用は最低で600万円程度ですむ。

他のスポーツと比較しても格安で、立川のチームのように地元の商工会議所が中心となって立ち上げるところが出てくるなど、参入への壁もさほど高くない。

実際、今季は昨季よりも6チーム増えて18チームになった。「2020年までには100チーム前後にしたい」と中村コミッショナー。「五輪正式種目」という強烈な追い風を受け、3人制バスケットボールは日本でどこまで根付けるか。リーグのこれからに注目したい。

柄谷 雅紀(からや・まさき)1985年生まれ。大阪府箕面市出身。全国紙の新潟、横浜、東京社会部で事件や事故、裁判を5年半取材した後、2013年に共同通信社に入社。翌年から大阪運動部でプロ野球のオリックス担当を経て、JリーグのG大阪などを担当した。16年から東京運動部でバレーボールやスキーを取材。筑波大時代は男子バレーボール部でプレーした。