8月15日、世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級チャンピオン山中慎介(帝拳)が、具志堅用高氏の持つ世界タイトル13連続防衛という日本記録に挑む。

これまで数々の名ボクサーが到達できなかった記録で、果たして強打の山中が追いつけるかどうか。決して簡単ではないが、「神の左」と呼ばれる必殺の左ストレートが炸裂すれば、自然とKO防衛は近づいてくるのではないか。ゴングが今から待ち遠しい。

6月7日、山中は発表会見に臨んだが、そのとき、具志堅氏から映像によるメッセージが届いた。「山中君の今までのボクシングを見たら記録を塗り替えると思う。記録があり、それを超えるのがプロの世界。ボクシング界のためにも塗り替えてほしい」という熱い内容だった。

山中も「本心で話してもらっているのが伝わってくる。うれしいです」と言葉を弾ませた。さらに「まずは次の防衛戦に勝ち、『並びました』と報告したいです」とも。心身ともに充実、8月の決戦を心待ちにしているようだ。

今回の相手は手ごわいという評判だ。ランキング1位ルイス・ネリ(メキシコ)は山中と同じサウスポー。デビュー以来、23連勝(17KO)を続ける不敗のホープである。

バンタム級の本場で鍛えられており、激しい打ち合いを得意としている。「十分にトレーニングを積み、体調をベストに仕上げたい」と念入りに作戦を練る。KOのチャンスには一気にパンチを畳み掛けてくる。不気味な挑戦者といえるだろう。

しかし、ネリの実戦を振り返ってみると、一つの弱点が見えてくる。それはディフェンスの甘さだ。打ち合いにいくとき、どうしてもガードが空き、逆にカウンターを浴びるシーンが目立つ。

これまでは格下と闘うことが多く、白星を積み上げてきたが、山中戦はまさに正念場になる。世界戦という舞台でどこまで能力を発揮できるか。

試合はスタートから緊張感にあふれた展開が予想される。最近の山中はクリーンヒットを受けることも多く、ダウンも珍しくはない。ましてやネリはKO率が7割を超えており、一瞬の油断も決して許されない。

山中はこの試合にすべてを懸けている。自慢の強打は健在。あの左がまともに当たれば相手は立っていられないだろう。

具志堅氏の記録達成は1980年10月。37年ぶりの快挙への期待は高まる。(津江章二)