日本女子ゴルフツアーがこれまでにない盛況を迎えている。

2003年に高校3年生のアマチュアとして優勝を果たして人気に火を付けた宮里藍が米ツアーに移ったあとも、次々とスター選手が現れ、最近では韓国出身のイ・ボミら海外勢も大人気。開催コースはギャラリーでごったがえし、我々報道陣もロープ内に入らなければプレーをほとんど見ることができない状況になっている。

そうした中で、また一人話題を集める選手が現れた。韓国ツアーで3勝の26歳、アン・シネだ。

5歳でゴルフを始めたソウル市出身の彼女は、9歳からニュージーランドに移って腕を磨き、09年にプロデビュー。実力と美貌を兼ね備えた選手として母国では「セクシークイーン」の愛称で親しまれ、昨年の日本ツアーの最終予選会を経て今季、日本ツアーに参戦した。

デビュー戦となった国内三大大会の第1戦、ワールド・サロンパス・カップでは、4日間で4万人を超える大観衆が詰めかけ、アン・シネの組にも多くのギャラリーがついた。

最終的に41位と「10位以内」としていた目標には及ばなかったが、取材ともなれば米国の人気選手、レキシー・トンプソンや宮里藍に負けず劣らずの人数の報道陣に囲まれた。

ここで私自身が驚いたのが、報道陣の質問は服装など外見のことが中心で、プレーやクラブなどゴルフの専門的な話は他の選手に比べて極端に少なかったことだ。

確かに4日間、体のラインが目立つウエアや短いスカートを着用してのプレーで異彩を放っていたのは間違いないが、それでも「嫌な気分にならないのかな」と勝手に心配したほどだ。

だが、彼女は服装や外見のことばかり聞かれることについては「むしろ注目されることがうれしい」と気にする様子は皆無。そのプロ意識には感服するばかりだ。

現在の日本女子ツアーでは日本選手よりもイ・ボミやキム・ハヌルにギャラリーが多くついて回ることが珍しくない。

高い実力に加えてメディアへの丁寧な対応やファンサービスの手厚さなどを考えると当然の流れともいえるが、今は話題先行になっているアン・シネも、今後結果を出していけばイ・ボミ同様に看板選手になる可能性も十分ある。

一方で、こうした状況は日本選手のスター不在を浮き彫りにするものでもある。今季の開幕前に話題を集めたのは米ツアーに挑戦する畑岡奈紗と賞金女王のイ・ボミで、サロンパス・カップではアン・シネにL・トンプソンに宮里藍に注目が集まった。

日本選手はそれぞれがある程度の人気を保っているとはいえ、特別話題に上る選手は少なかった。

普段は米ツアーで戦う宮里藍は日本の女子ツアーについて「平日を含めて多くのギャラリーが来てくれる。選手はそれを当たり前と思わないでほしい。米国ではこういう状況はない。1試合でも多く、こういう状況が続いたらいい」と警鐘を鳴らしている。

杉山 勝則(すぎやま・かつのり)1984年生まれ。山口県出身。2008年共同通信社入社。本社運動部、大阪運動部を経て、広島支局で主に広島カープを取材、12年末から本社運動部でゴルフ、ラグビーなどを担当。