いつになれば最強チームが見られるのか。2017年春現在、日本ラグビーに注目する人の多くが抱えるヤキモキを表現すれば、この一言に尽きるだろう。

前回15年ワールドカップ(W杯)イングランド大会の主将だったFWリーチ・マイケルは、W杯後はけがと心身の疲労から一度も代表でプレーしていない。

代表強化を主目的に結成されたスーパーラグビー(SR)の「サンウルブズ」も似た状況だ。ベストメンバーがそろわないまま、参入2年目の今季も開幕から8試合で1勝7敗と苦戦が続く。

「知っている選手が少ない」「あの選手、どこで何してるの?」。そんな声が聞こえてきそうだ。2カ月前のSR開幕時に本コラムを担当したばかりだが、ここで再びラグビーの話題を取り上げたい。

4月10日、6月の日本代表のテストマッチに関して、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)が発した言葉に、ラグビー記者はどよめいた。

「リーチから日本代表に選ばれたらプレーできると言われた」と明らかにしたのだ。SRではサンウルブズに入らず、チーフス(ニュージーランド)で主力としてプレーするリーチの代表復帰は誰もが望んでいた関心事。世界ランキング4位のアイルランドとのテストマッチに向けた朗報だった。

「ベストメンバー待望論」はサンウルブズにもあてはまる。各国代表がひしめく南半球のクラブと激突して代表のテストマッチに準ずる経験を積むことが、SRに加入した最大の理由だ。

「毎週のように『ほぼ日本代表』の試合が見られる」はずだった…。だが、昨年はSH田中史朗やFB松島幸太朗が他のSRチームでプレー。1年目に比べて代表クラスが集まった今季も、故障や休養を理由に主力が勢ぞろいした試合はない。

秋冬の国内シーズンで負った故障から回復中の選手もいれば、プレーできる状態にはあっても首脳陣が計画的に休息を取らせている選手もいる。

2月25日の開幕戦には上記の理由から、新たに加わった田中や松島、CTB立川理道、SO田村優、ロックの真壁伸弥と大野均、プロップ稲垣啓太ら多くの15年W杯組を欠いて臨み、ホーム秩父宮を埋めたファンの前で17―83と大敗した。

W杯後、日本ラグビー界を引っ張ってきたフッカー堀江翔太も、第2戦を最後に休養を与えられている。

15年W杯の代表選手は、自国開催となる19年につなげる使命感を胸に、当時のエディ・ジョーンズHCの猛練習に耐え抜いた。だが、SR参戦によって試合数が増え、トップ選手にまとまったオフ期間は存在しない。

首脳陣がSRの試合をあえて休ませても休息を与えなければ、どんなに屈強なラガーマンも燃え尽きてしまう。今は我慢の時。サンウルブズは、強化と体調管理の両立というジレンマを抱えながら戦っているのだ。

約1カ月の遠征を終え、秩父宮に戻った4月8日のブルズ(南アフリカ)戦。田中、田村優、松島の3人が初めてそろった今季6戦目で、サンウルブズは1年目より2試合早く初勝利を挙げた。

開幕から若手を多く起用し、厳しい戦いを承知でもまれてきた。そこに経験豊富な選手が加わった時の底力を目の当たりにした。

6月の代表戦はこのメンバーがベースになる。さらにジョセフHCによれば、SRのレベルズ(オーストラリア)のアマナキ・レレイ・マフィ、レッズ(オーストラリア)のツイ・ヘンドリックといった、リーチと同じFW第3列のキーマンたちも代表に招集される見込みだという。

世界に散らばって力を蓄えた選手たちが集結し、日本代表として海外の強豪に挑む。サッカーや野球ではお馴染みの光景が、ラグビーでも実現しようとしている。

「(現状は)ベストな選手たちが常に一緒にプレーできていない。でも、それができれば絶対に勝てる自信はある」。ジョセフHCの言葉をノートにとりながら、勢ぞろいした日本代表を思い描いていた。なんだかワクワクした気持ちになった。

小海 雅史(こかい・まさし)1982年生まれ。東京都出身。2005年共同通信社入社。06年から福岡支社でプロ野球ソフトバンク、11年から東京でヤクルト、巨人を担当。15年からは卓球やラグビーなどを取材し、15年ラグビーW杯、16年リオ五輪をカバー