世の中には、そのスポーツを象徴するような選手やチームがある。昭和の高度成長期に子供に圧倒的に支持されたことから生まれた流行語「巨人、大鵬、卵焼き」などは、その一例だろう。

では、モータースポーツにおける象徴とは? 真っ先に挙がるのが、世界三大レース。F1のモナコ・グランプリ(GP)、インディアナポリス500マイル(インディ500)、そして耐久レースのルマン24時間だ。

そのインディ500に、F1で2度の総合王者に輝いているマクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソ(スペイン)がスポット参戦することを表明し、大きな話題となっている。すでにモナコGPで勝利しているアロンソは、同じく2度のF1総合王者である故グラハム・ヒル(英国)しか達成していない世界三大レース制覇を夢見ているのだ。

そんなアロンソが強く望んでいたのが以前に所属していたフェラーリでの総合王者獲得。アロンソだけでなく全てのF1ドライバーが一度は走ってみたいと憧れ、そこで王者になることを夢見る。それがフェラーリだ。

F1が創設された1950年のモナコGPに初参戦して以来、フェラーリだけが一度も途切れることなく68年目のシーズンを戦っている。フェラーリこそ、まさにF1のアイコンなのだ。

多くの人が思い浮かべるフェラーリの栄光といえば、ミヒャエル・シューマッハー(ドイツ)を擁して総合王者と製造者部門の2冠を5連覇した2000~04年だろう。その後は、07年にキミ・ライコネン(フィンランド)が総合王者、翌08年に製造者部門を制したのを最後にタイトルに縁がない。惜しかったのは10年と12年。アロンソが最終戦まで総合王者を争ったが届かなかった。

そんなフェラーリだが、今季は9年ぶりのタイトル獲得の可能性を感じさせる。ドライバーは、レッドブルで4度王者となったセバスチャン・フェテル(ドイツ)と“最後のフェラーリ王者"ライコネンのコンビ。2人とも今年のマシン「SF70H」に対して、「これなら(3年連続2冠の)メルセデスと十分戦える!」と太鼓判。開幕戦と第3戦に勝利し、名門復活の狼煙(のろし)を上げた。

予選での速さはまだメルセデスが上回っているものの、フェラーリはレースでミスを一切犯さず、多少の幸運も味方につけるチームの総合力で2勝した。一方のメルセデスは、小さなミスで勝利を逃している。

果たして、“跳ね馬"はイタリアにチャンピオントロフィーを持ち帰れるのか? そして、同郷のシューマッハーに憧れたフェテルの夢は実現するのか? 17年シーズンは間違いなく、近年で最高のバトルが楽しめそうだ。(モータージャーナリスト・田口浩次)