ラグビーの魅力は何かと問われたら、鋼の筋肉をまとった選手たちのぶつかり合いにあると答える。風が吹けば飛んでしまうようなマッチ棒体型の私など、到底できないスポーツだ。

その肉弾戦の醍醐味を、スーパーラグビー(SR)では日本のサンウルブズを通して毎週のように味わえる。サンウルブズにとっては参入2年目のシーズンが始まったばかり。2年半後に迫った2019年ワールドカップ(W杯)日本大会でも活躍間違いなしのトップ選手たちが集まるSRを、ぜひ多くの方に観戦していただきたい。

SRは、ニュージーランドとオーストラリアから各5、南アフリカから6、日本とアルゼンチンから各1の計18チームが集まり、南半球のクラブの頂点を決める大会だ。

サンウルブズは日本代表の強化のために結成されて現役日本代表選手や候補生が集まり、今季が2年目。サッカーに例えれば、FCバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドが争う欧州チャンピオンズリーグに、日本代表が参戦しているようなものだ。

1年目は1勝1分け13敗と苦しんだが、W杯8強以上を目指す日本の強化には最適の舞台といえる。

SRはファンにとっても新しい魅力であふれている。早春の青空が広がった2月最後の土曜日。昨季王者のハリケーンズ(ニュージーランド)を本拠地東京・秩父宮ラグビー場に迎えた開幕戦は、キックオフ前からスタジアム内外に活気があふれていた。

オオカミのトレードマークがついたチームウェアを着た人たちや、「ネコ耳バンド」ならぬ「オオカミの耳バンド」をつけた女性の姿をたくさん目にした。

グッズショップもまるでコンサート会場のような人だかり。プロ野球広島のマスコット「カープ坊や」とタイアップし、流行語「神ってる」をもじった「オオカミってる坊や」のマグカップやハンドタオルなども販売された。

さらにはゴール裏スタンド席の特設ステージで、チームのテーマソングを歌うロックバンド「MAN WITH A MISSION」のライブも開催。サンウルブズ誕生以前から活動していて、オオカミのマスクをかぶっていることで知られる覆面バンドは見た目のインパクトも十分で、激しいロックに老若男女が手拍子を鳴らして盛り上がっていた。

さて、昨季王者に17対83の完敗だった試合の話もしたい。W杯2連覇中のニュージーランド代表「オールブラックス」がそろうチームは速く、強く、うまかった。

サンウルブズは簡単に突破を許し、次々とトライを量産された。15年W杯のトライ王J・サベアは、日本のトップ選手たちのタックルを吹っ飛ばし、16年の世界最優秀選手でオールブラックスの新司令塔B・バレットは途中出場ながら存在感たっぷりだった。

だが、サンウルブズも最後まで戦い続けた。終盤の20分間は得点を許さず、スクラムでは競り勝つ意地を見せた。

「選手が一人も諦めなかったことがうれしい」と言ったオールブラックス経験者のティアティア・ヘッドコーチも決して下を向かずに続けた。「スコアボードに大差はついたかもしれないが、常に向上したい。人生においてレッスンはたくさんある」。不屈の精神力も、ラグビーの魅力なのだ。

小海 雅史(こかい・まさし)1982年生まれ。東京都出身。2005年共同通信社入社。06年から福岡支社でプロ野球ソフトバンク、11年から東京でヤクルト、巨人を担当。15年からは卓球やラグビーなどを取材し、15年ラグビーW杯、16年リオ五輪をカバー。