2月10日、プロボクシングの2016年度年間表彰者が発表され、最優秀選手には世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級チャンピオンの山中慎介(帝拳)が選ばれた。3年ぶり2度目の受賞に山中の言葉が弾んだ。

「これで次の試合(12度目の防衛戦)に勢いがつきました。周囲への感謝の気持ちを忘れず、必ず圧勝で期待に応えたい」。さらに年間最高試合、KO賞も獲得。3冠を達成した男は充実感に満ちている。

世界タイトル連続防衛の日本記録は具志堅用高(協栄)の13連続が最長で、30年以上も破られていない。

スーパーフェザー級で無敵を誇った内山高志(ワタナベ)も昨年、12度目の防衛に失敗している。そのほか、長谷川穂積(真生)、勇利アルバチャコフ(協栄)らの実力者も13という数字には追いつけなかった。

「王座を守り続ける」ことの難しさは歴史が証明しているが、山中はそのハードルにどう挑むのか。

まず絶対に負けられないのが3月2日の防衛戦(両国国技館)で、相手はWBC9位のカルロス・カールソン(メキシコ)。格からいったら防衛に不安はないところだが、油断は禁物だ。

というのも、山中はここ2試合とも痛烈なダウンを喫しているからだ。34歳という年齢に加え、気になるのがガードの甘さ。少し打たれすぎるのが気になるところ。メキシコはバンタム級の本場でもあり、不気味な一打には要注意だろう。

しかし、現在の山中には「取り越し苦労」かも知れない。表彰式後にはジムに直行したほどで、心に隙はなさそうだ。

「インパクトのある倒し方を見せたいし、KO決着を狙っている」と意欲をのぞかせ、具志堅の記録については、「一戦、一戦に全力を尽くすのが自分のテーマ。数字は積み重ねた結果。今回も目の前の試合に集中したい」とカールソン戦での必勝を約束した。

「記録は破られるためにある」とも言われる。確かに「13」は簡単な数字ではないが、山中への周囲の期待は高い。

“神の左"とも呼ばれる左ストレートはスピード、パワーとも文句なし。クリーンヒットすればKO防衛は自然に近づいてくる。

戦績は山中が26勝(18KO)2分け、カールソンは22勝(13KO)1敗。バンタム級らしいスリリングな熱戦は必至と予想する。(津江章二)