「花園」の愛称で親しまれる年末年始の風物詩、全国高校ラグビー大会は東福岡の2大会ぶり6度目の優勝で幕を閉じた。東海大仰星(大阪第1)との決勝戦は、まさに意地と意地のぶつかり合い。寒風をものともせず、ひたむきに楕円(だえん)球を追いかける高校ラガーマンたちの姿に、胸を熱くさせられる日々だった。

2015年のワールドカップ・イングランド大会で日本代表が躍進し、19年には日本で初めてワールドカップが開かれる。ラグビー界にとってはまさに追い風が吹いているわけだが、決して手放しで喜べる状況ではない。ラグビーが注目されている今こそ、地域ごとに偏りのある普及度や長く続く部員減にメスを入れる時だ。

96回目を迎えた今大会で、ベスト8に名を連ねたチームを列挙する。関東勢は桐蔭学園(神奈川)東京(東京第1)の2校で、近畿勢は東海大仰星と常翔学園(大阪第2)、御所実(奈良)、京都成章の4校。中国は石見智翠館(島根)、九州は東福岡の1校だ。初めて8強入りしたのは東京だけ。出場校を東西で分けると、東日本勢の単独優勝は第77回大会の国学院久我山(東京)を最後になく、「西高東低」の図式が続いている。

東京の森秀胤監督は「西の強豪校はパワーがあるだけでなく、プレーにいろんな選択肢を持っていて、判断力がある」と語る。東京は打倒・関西勢を掲げ、御所実に年2、3回にわたって出稽古している。マイクロバスに揺られての厳しい移動だが、強豪の力を肌で体感し、春野日向主将(3年)は「御所に行って、東海大仰星や大阪桐蔭、石見智翠館とやれた。いろいろな学校と試合をして、名前負けしなくなった」とうなずく。

もともと、大阪や福岡はラグビー熱が高く、ジュニア年代のスクールも充実している。西日本の強豪校には技術の高い選手が入学してくる一方、ラグビーを継続できる環境が乏しい東日本では、他競技に選手を奪われてしまうことも少なくないという。スタート地点の力量差が、全国大会での成績にもつながっており、森監督は「関東だけでやっていると、取り残されてしまう」と危機感を口にする。

高体連の集計によると、ラグビー男子の2016年度の登録部員数は2万3602人。サッカー男子の16万9855人やバスケットボール男子の9万5681人に大きく水をあけられている上、高知や福井など部員数が100人に満たない県もある。少子化の影響はあるにせよ、1991年度には過去最高の5万7826人を記録しただけに隔世の感がある。

3回戦で東海大仰星に敗れた深谷(埼玉)の横田典之監督は「やはり人口が一番多い関東勢が強くなり、大会を盛り上げていかなければならない。それが全国的な普及にもつながる」と力を込める。強豪校の頑張りを否定するわけではないが、毎年上位が同じような顔ぶれでは新鮮味に欠ける部分もある。ラグビーというスポーツの素晴らしさを感じるからこそ、人気再燃に向けてマンネリズムの打破を期待したい。

竹内 元(たけうち・はじめ)1987年生まれ、東京都出身。全国紙に勤務した後、2012年に共同通信入社。大阪運動部と広島支局でのプロ野球担当を経て、14年末から大阪運動部でラグビー、大相撲、ボクシングなどを中心に取材。