注目の1年が始まった。投打の「二刀流」として活躍し、2016年のパ・リーグ最優秀選手に輝いた日本ハムの大谷翔平選手が早ければ17年シーズン終了後にも米大リーグ挑戦が実現する。球団は昨年の契約更改交渉時に本人のメジャー挑戦の意向を確認し、ポスティングシステム利用による挑戦を容認。岩手・花巻東高時代には米国行きを表明した大谷だが、日本ハムから独創的な「二刀流」での育成プランを提示され、交渉を重ねて入団が決まった経緯がある。日本球界で着々と力をつけて挑む5年目のシーズンは2年連続の日本一を達成するかだけではなく、3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。日本でのラストシーズンとなってしまうのか。今後の野球人生を左右する1年が幕を開けた。

4年目のシーズンは投げて、打って鮮烈な印象を残した。投手としては右手中指のまめの影響で7月下旬から約1カ月半、マウンドから離れた時期があったがリーグ優勝を決めた9月28日の西武戦で1安打完封。大事な試合で堂々の働きを見せて10勝を挙げた。クライマックスシリーズのファイナルステージ第5戦ではプロ野球最速の165キロをマークした。

バットでも強烈な輝きを放った。7月3日のソフトバンク戦では「1番・投手」で先発し、初回先頭打者本塁打を放つ離れ業をやってのけた。104安打で打率3割2分2厘、22本塁打、67打点は全て自己最高の数字だった。2連敗で迎えた日本シリーズ第3戦ではサヨナラ打を放ち、逆転日本一への起点となった。ベストナインでは史上初めて投手と指名打者の両部門で同時に受賞した。

大谷はシーズン後の契約更改で大リーグ移籍に踏み切るタイミングについて聞かれると「明確な基準があるわけではない。今の時点でどうなるか分からない。もしかしたら来年、そういう気持ちになるかもしれないので。そうなったときの話をしてもらっただけ」と明言を避けた。好成績を残せばメジャーに直結するというわけではなく、大谷本人の気持ち次第で決まる。島田球団代表は「日本の宝と言われる。どこまで成長するのかを皆さん楽しみにしている。われわれも見てみたい。一番いいときに行かせてあげるべきかな」と話した。球団も本人の意思を尊重するために、移籍希望を伝えられれば挑戦を後押しすることになる。

11月末に米大リーグ機構(MLB)と選手会が合意した新労使協定では、外国人選手との契約で金額制限の対象年齢が23歳から25歳未満になり、メジャー挑戦に暗雲が漂ったが、大谷は「僕には関係ない」と意に介さなかった。推定2億7千万円と高額年俸選手となり、お金の使い道について聞かれても「WBCのボールでも買おうかな」と話すくらい、野球に没頭している。総額で2億ドル(約234億円)を超えるともされた巨額契約を結べる可能性があったが22歳はマイペースを貫くはずだ。もちろん、18年以降も日本にとどまり、プレーを続ける選択肢も残されている。過去、現在、未来の球界において類いまれな存在になった大谷のプレーからこれまで以上に目が離せない。

山形 英資(やまがた・えいし)2007年共同通信社入社。名古屋、大阪支社を経て本社運動部でプロ野球などを担当。16年からは札幌支社へ異動し、日本ハムを取材している。熊本県出身。