バスケットボール男子の新リーグ、Bリーグが9月に誕生し、2カ月以上がたった。レギュラーシーズンは約3分の1を消化。発光ダイオード(LED)を用いたコンピューターグラフィックスでコートを映し出す画期的なアイデアで注目を集めた開幕戦は、新たな時代の到来を強くアピールした。人気、強化の両面で長年停滞が続き、「常に現状維持」と国際的に指摘されてきた日本のバスケ界はどう変わったのか。乗り越えるべきハードルは数多くあるが、筆者は個人的には将来の可能性を感じとっている。

リーグの成否を示すといえる観客動員数は、旧NBLの栃木や千葉、旧TKbjリーグの琉球、秋田など、以前からプロとして地域に根ざしていたチームは変わらずに観客を確保している。特に昨季国内リーグのレギュラーシーズンで10万人を突破した千葉は、ことしも多い試合では約6千人を動員するなどリーグを代表する集客力を持つようになった。その要因は、大学生のアイデアを借りてイベントを実施するなど、あの手この手で来場を呼びかけていることだ。近隣には東京ディズニーランドなど娯楽施設がある中、バスケットボールで人を集められることを実証した好例となっている。

プロ化したことで最も変革を求められたのが、国内リーグを支えてきたA東京(旧トヨタ自動車東京)や三河(旧アイシン三河)などの実業団のチーム、選手たちだ。特に昨季は東芝神奈川として旧NBL最後の王者となった川崎は、会社の福利厚生の一環として優勝を目指すだけではなく、社員の士気を高めるためにも勝利を目指し、戦ってきた。リーグ統合へ向けた構想が持ち上がった際にはプロリーグへの参戦が難しいのではないかとの懸念もあった。ただ、ことしからは地域密着を理念に掲げ、選手は、チームはもちろん自らを『商品』として売り出すことが必要となった。

リーグ開始直後、選手が街頭でチラシを配った。チームには日本代表の篠山竜青や辻直人らが名を連ねる。それでもなかなかチラシを受け取ってもらえず、予定していた枚数を配りきれなかったという。北卓也監督は「うちは(ファンサービスなどで)まだ遅れている」と認め、地道な活動の必要性を痛感。今季から試合終了後に選手が会場から出るファンをハイタッチで送るなど、プロチームとして変わろうという姿勢を体現している。

千葉の島田慎二社長は「劇的に変わるまでは2~3年かかるかもしれないが、日本のバスケ界は絶対に変わる」とBリーグ発足前から話していた。目に見える変化はまだ数多くないかもしれない。それでもBリーグ誕生によって、選手、スタッフの意識は着実に変化している。それが結局はファン層拡大、リーグの繁栄につながるはず。地道な作業を続けていくことが不可欠だと思う。

鈴木 敦史(すずき・あつし)1980年生まれ。北海道出身。2005年共同通信入社。07年からプロ野球オリックス、広島を担当。11年から遊軍、DeNA担当を経て、13年12月からバスケットボール、陸上などを取材。