追われる立場の難しさを痛感させられる大会となった。11月前半に韓国の義城で開催されたカーリングのパシフィック・アジア選手権で、日本女子代表のLS北見は世界選手権の出場権を逃した。昨季、日本勢初の銀メダルを獲得した舞台に、今季は立つこともできなくなった。

LS北見のメンバーは、大会前から「挑戦者の気持ちで戦う」と口をそろえていた。昨季の活躍で追われる立場となったが、アジアのライバル、韓国や中国も大きな実力差があるわけではない。気持ちの面で受けに回れば好結果はついてこないことは自覚していた。しかし、勝負どころの準決勝でショットの精度を欠き、経験豊富なスキップを擁する中国に敗戦。どんな状況でも笑顔でのびのびとプレーするLS北見らしさが欠けていたようにも見えた。2018年平昌冬季五輪を前に、日本に世界選手権の出場権をもたらせなかったことのショックは大きく、選手たちは膝を抱えて涙を流した。

昨季の世界選手権では、優勝を逃した悔しさも強かったはずだが、日本勢初の表彰台に立った満足感も大きかったのではないか。イベントなどで快挙を祝福される機会も多く、いやでも「世界2位」という肩書を意識せざるを得ない状況になった。今大会終了後、サードの吉田知那美は「どこかで守る気持ちになっていた」と「挑戦者」になりきれなかった精神面を反省した。五輪2大会を経験している30歳の本橋麻里を除けば、全員が25歳以下の若いチーム。本橋も精神面を課題に挙げ、今後の大会に向け「いかに挑戦者の意識でいられるかが鍵になる」と同じキーワードを口にした。

世界選手権出場権が消えた後の3位決定戦では、出産を経て控えに回っていた本橋がサードとして出場し、ニュージーランドに大勝した。日本代表のリンド・コーチは、12月中旬の軽井沢国際選手権でさまざまなオーダーを試す可能性を示唆。チーム随一の経験を持つ本橋が同じリンクでプレーすれば、技術面だけでなく精神面でも他の3人に与えるプラスの影響は大きいだろう。本橋の起用方法も今後のポイントになりそうだ。

平昌冬季五輪に出場できる10チームのうち、7チームは昨季と今季の世界選手権の順位に応じて得られるポイントの合計で決まる。日本女子はLS北見が昨季ポイントを稼いだので、今度の世界選手権に出られなくても五輪出場は有力な状況だ。焦点は国内の代表争い。1月末に開幕の日本選手権でLS北見は2連覇すれば、日本が五輪出場枠を得た場合の代表になる。しかし、ソチ五輪代表の北海道銀行など強敵も逆転を狙っている。挑戦者の気持ちを取り戻せなければ、厳しい戦いが待ち受けているに違いない。

中嶋 巧(なかじま・たくみ)1983年生まれ。仙台市出身。2007年7月共同通信入社。松江支局、大阪支社経済部を経て13年2月から運動部へ。アマチュア野球を中心に冬季競技など取材。