2016年のF1シーズンがいよいよ大詰めを迎えている。21戦にもおよぶ戦いの最終地が開かれるのは、中東・アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ。F1の年間王者が最終戦で決着するのは14年以来3季ぶりとなる。

その年間王者争いは、ともにメルセデスのニコ・ロズベルクとルイス・ハミルトンの一騎打ち。ランキング1位は20戦終了時で367ポイントを獲得しているロズベルク。それを3年連続の王者を狙うハミルトンがわずか12ポイント差の355ポイントで追う。2人の今季成績は以下の通り。ロズベルクは9勝、2位4回、3位と4位が2回、そして5位と7位が1回。一方のハミルトンも9勝、2位3回、3位4回、5位と7位が1回。ここまでの戦いはまさにほぼ互角だ。ただ、ロズベルクがリタイア1度だったのに対して、ハミルトンは2度。それが最終戦を前にしてのポイント差になった。

F1では決勝順位によって、1位25ポイント、2位18ポイント、3位15ポイント、4位12ポイント、5位10ポイント、6位8ポイント、7位6ポイント、8位4ポイント、9位2ポイント、そして10位1ポイントが配分される。

つまり、ハミルトンは勝利したとしても、ロズベルクが4位以下でなければ王座を守れないことになる。条件だけを見れば、ロズベルクはかなり有利な立場にいるといえる。

もちろん、レースでは何が起きるかわからない。事実、10年の最終戦アブダビGPでは、ランキング1位だった当時フェラーリのフェルナンド・アロンソが圧倒的有利だったにもかかわらず、決勝では7位に沈み、レースを制したレッドブル・ルノーのセバスチャン・フェテルが15ポイント差をひっくり返して、史上最年少での年間王者に輝いた。

関係者の多くもロズベルクに大いにチャンスがあると見ている。彼らが共通して指摘するのが、簡単に諦めないハートの強さだ。昨季までのロズベルクは、レース中の大事な場面でオーバーテイクされると気が抜けるようにズルズルとタイムが落ちたり、無理に抜き返そうとしてミスをしたりした。また、戦略ミスなどで大きく順位を落とすと、そこから復活することは少なかった。だが、今シーズンは違う。どうすればマシンが得られる最高の順位でチェッカーを受けられるかを重視するようになった。粘り強くなったのだ。

ロズベルクがこの粘り強さを発揮し、06年のデビュー以来11年目、206戦目という「遅咲き」での初戴冠を果たすことができるか、27日に決勝が行われる最終戦のアブダビGPに注目したい。(モータージャーナリスト・田口浩次)