後半戦が始まったF1では、ベルギーGP、イタリアGP、そしてシンガポールGPで3連勝を飾ったメルセデスのニコ・ロズベルクが、同僚のルイス・ハミルトンを逆転して年間王者争いのトップに立つなど大いに盛り上がっている。来月9日に決勝が予定されている日本GPでは、マクラーレン・ホンダに加え、メルセデス勢のチャンピオン争いにも注目が集まるに違いない。

しかし、シンガポールGPでは、レースとは違う部分に世界中の注目が集まった。それが、8日に発表となったアメリカのメディアグループによるF1の買収だ。

F1レースを主催しているのは日本自動車連盟(JAF)も所属しているFIA(国際自動車連盟)なのだが、F1の放送権を含む運営権は、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)という会社が所有している。この契約は100年間分の商業権を3億1370万ドル(約320億円)で売却するという内容で、2001年にFIAと締結した。

現在、FOMのオーナー会社はCVCキャピタルパートナーズという投資会社なのだが、今回、米メディア大手リバティメディアがFOMを含むF1の商業権を44億ドル(約4440億円)で買収することで合意した。この買収には41億ドル(約4137億円)の負債も引き受けるとあり、最終的な買収額は85億ドル(約8577億円)となる。新しいF1の代表には、映画会社の「20世紀フォックス」などを傘下に収めるエンターテインメント企業「21世紀フォックス」のチェイス・キャリー執行副会長が就任するという。そのチェイス・キャリーがシンガポールGPを視察していたので、メディアの注目はそちらに集中したのだ。

「85億ドル」と言われても、金額が大きすぎてピンとこないだろう。だが、スポーツチームなどの資産価値は現在莫大(ばくだい)な金額で査定されている。7月に米誌フォーブスが発表した「もっとも資産価値の高いスポーツチーム」ランキングを見ると、1位には米プロフットボールNFLのダラス・カウボーイズが40億ドル(約4036億円)、2位にスペインのサッカーチームであるレアル・マドリードが36億4500万ドル(約3678億円)、3位に同じくスペインサッカーのバルセロナが35億4900万ドル(約3581億円)、4位に米大リーグのヤンキースが34億ドル(約3430億円)と続く。

今回の買収によって、F1が今後どう変化していくのかは予想もつかないが、エンターテインメント産業の発展にたけたアメリカ企業の手腕で、F1人気が復活するのか、注目していきたい。(モータージャーナリスト・田口浩次)