世界中のボクシングファンが待ちわびる「夢の対決」が実現に向け、大きく前進した。

9月10日、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が判定勝ちで世界ボクシング評議会(WBC)スーパーフライ級王座を獲得し、世界4階級制覇を達成。この快挙により、世界ボクシング機構(WBO)同級王者、井上尚弥(大橋)との対戦が現実味を帯び、軽量級のスター同士の決戦に注目が集まっている。

ともに抜群の実績を誇る。23歳の井上はプロ6戦目でWBCライトフライ級王座に就き、8戦目で2階級を制覇した。

スピードあふれる右ボクサーファイター。チャンスに見せる連打は的確で鋭く、一気にKOにつなげる迫力がある。唯一の心配は故障が目立つことだが、万全の調整をすれば勝利は自然に近づくのではないか。

軽快なフットワークに乗ったコンビネーションは鮮やかの一言。デビュー以来、11戦全勝(9KO)と負けを知らず、モンスター(怪物)の愛称がよく似合っている。

29歳のゴンサレスは既にスーパースターだ。専門家の間で「全階級を通じ最強」と言われるほどで、負けることが考えられない実力の持ち主。アマで87戦全勝。プロ転向後も46戦全勝(38KO)。信じられないような白星街道を快走している。

持ち味は接近戦に持ち込んでからの畳み掛けるような左右連打。8割を超すKO率が自慢で、休みなく多彩なパンチを出し続ける。さらなる名誉に向け、闘志満々のようだ。

ゴンサレスのプロモーターは帝拳ジムの本田明彦会長。対戦に前向きな発言を繰り返しており、それは井上の所属する大橋ジムの大橋秀行会長も同じ。

開催地についても大橋会長は「米国でもいい」と話している。ゴンサレスの4階級制覇を現地ロサンゼルスで観戦した井上も高揚感を抑えられないという。

かねてからゴンサレスの存在を強く意識しており、ライバル打倒への秘策を練っていくに違いない。

無敗同士による真っ向勝負。ファンにはこたえられない展開が予想される。ゴンサレスは不気味に前進しフック、アッパーを放つ機をうかがう。

これに対し、井上は定評あるフットワークをフルに使い、左ジャブでけん制。動きが止まったところに連打を見舞い、優位に立てるかどうか。いずれにしろ初回のゴングから目が離せない熱戦は必至。熱きドラマが今から待ち遠しい。(津江章二)