サッカーの欧州選手権がフランス各地で開催されている。ワールドカップ(W杯)の中間年に行われる4年に1度の晴れ舞台。クラブでは敵同士の選手が同じ代表チームで戦ったり、その逆で同じクラブ所属の選手が対戦したり。あるいは個性的な選手にスポットが当たることもある。試合の勝ち負け以外にも楽しみ方はいろいろだ。

優勝候補に挙げられるのがドイツ。W杯を制した2年前に続くビッグタイトルの獲得を狙っている。ドイツを支えているのが、GKノイアーら同国1部リーグの強豪バイエルン・ミュンヘンの選手たちだ。

16日のポーランドとの一戦では、相手FWにBミュンヘン所属のレバンドフスキがいた。クラブでは同僚として戦う間柄だが、敵と味方に分かれ、レバンドフスキの突破をボアテング(Bミュンヘン)が迫力あるスライディングで阻止する場面もあった。拮抗した試合は0―0の引き分け。レバンドフスキは「ゴールを奪えなかったのは残念だけど、相手は世界王者。勝ち点1に満足している」と語った。

欧州チャンピオンズリーグ(CL)で優勝したレアル・マドリード(スペイン)の選手たちは、クラブに続いて代表での成功を目指している。同クラブ所属で今大会に出場しているのはロナルド(ポルトガル)ベール(ウェールズ)セルヒオラモス(スペイン)らおなじみのスター選手たち。ベールは1次リーグで連続してFKを決め、初出場のウェールズの大黒柱として活躍を見せている。

しかし、ロナルドは18日のオーストリア戦でPKを失敗するなど序盤は本領を発揮していない。オーストリア戦ではフィーゴを上回る同国代表最多の128試合出場を達成したが「もちろん誇らしいけれど、勝って記録を更新したかった」と残念がった。

ハンガリーのGKキラーリは40歳で、大会最年長出場記録を樹立。筆者よりも年上の選手がめっきり少なくなる中、少しお腹が出ているあたりも応援したくなる存在だ。

フランスでは昨年11月にパリ同時多発テロが起きた。大会前から欧州選手権がテロの標的になるとの見方もあり、各地で厳戒態勢が敷かれている。そんな中でサポーターによる暴動などがスタジアム内外で発生し、深刻な事態をもたらしているのは残念でならない。北部の都市リールからランスへと電車で移動した際には駅のプラットホームの入り口に警官がずらりと並んで手荷物を厳重にチェック。「ノー アルコール?」。一人一人、バッグやスーツケースなどを広げさせられ、危険物はもちろんのこと、騒ぎが起きないように車内への酒の持ち込みも厳しく制限していた。電車内でも突発的なもめ事が起きないように警官が巡回して目を光らせ、サポーターはおとなしく電車に揺られていた。普段はスタジアムに向かう電車内で応援歌を歌って盛り上がる光景が当たり前のようにみられる欧州だが、純粋にサッカーを楽しみたいサポーターにとっては少しばかり息苦しさも感じることだろう。とはいえ、安全が最優先事項であることに変わりはない。華やかなサッカーの祭典が、7月10日の決勝まで無事に続くことを願っている。(成績は6月19日時点)

土屋 健太郎(つちや・けんたろう)1979年生まれ。千葉県出身。2002年に共同通信社入社。福岡でソフトバンクなどを担当。07年1月から東京でサッカー、大相撲、バレー、バスケットボールを担当。15年からベルリン支局でサッカーを中心に取材。