近年、バレーボールといえば女子にスポットライトが当たり、男子は陰に隠れがちだった。国際大会でも空席が目立ち、雑誌の表紙も女子ばかり…。そんなバレー界の「定説」が、昨年から崩れ始めている。5月28日から始まるリオデジャネイロ五輪出場権を懸けた世界最終予選兼アジア予選ではチケットの売れ行きで男子が女子を上回り、書店では男子選手を取り上げた雑誌が目につく。2008年北京五輪以来、2大会ぶりの五輪を目指すバレー男子の人気について探ってみた。

男子人気の火付け役となったのは2015年4月の会見で南部正司監督が「NEXT4」と名付けた若手選手たちだった。23歳の柳田将洋(サントリー)、20歳の石川祐希(中大)、22歳の山内晶大(パナソニック)、21歳の高橋健太郎(筑波大)の4人のうち、昨年9月のワールドカップ(W杯)では柳田と石川が主力として活躍し、6位と躍進した原動力に。中でも石川は大学生ながら各国のエースに引けを取らずスパイク決定率で55・82パーセントの4位と堂々たる数字を残し、大会の「ドリーム・チーム」の一員に選ばれた。W杯後に国内のリーグ戦が始まると、プレミアリーグや大学のリーグ戦にファンが押し寄せた。

リオデジャネイロ五輪を控える今季、人気はより熱を増している。3月に入り日本代表のシーズンが始まると、鹿児島や沖縄での強化合宿にファンが詰めかけた。4月17日に沖縄市体育館で行われた紅白戦では、有料にもかかわらず約2500人の大入りという盛況。終了後、体育館の出口には100人を超えるファンが列をつくりサインを求めた。

男子バレーボール熱の高まりは数字にもはっきり出ている。世界最終予選兼アジア予選のチケット販売でも男子が好調。日本バレーボール協会の有料会員向けチケットでは、申込数が女子の約5千に対し、男子が約2万1500と4倍以上だった。4月下旬の時点での総販売数も、男子が先行。選手の情報を直接受け取ることができる短文投稿サイト「ツイッター」からも様子が見てとれる。大会前にフォロワー数が「4、5千だった」という柳田は5月初めの時点で、11万に迫る勢いだ。実に20倍以上にふくれ上がり「めちゃめちゃ増えましたね」と笑うしかない。ただ、せっかくの上昇気流も2大会続けて五輪出場を逃せばしぼみかねない。南部監督は「厳しい戦いが予想されるが何とか乗り越えて、何が何でも男女そろっての五輪出場を果たしたい」と決意を口にする。

これだけ若手に注目が集まると、ベテランとしては面白くないのでは―。そんな思いから主将を務める29歳の清水邦広(パナソニック)に、沖縄合宿で少し意地悪な質問をぶつけてみた。「北京五輪から男子バレーを支えてきた意地や、負けたくない気持ちが強いのでは」と。すると「ゴリ」の愛称で親しまれる日本の大黒柱は、沖縄の青空にも負けない爽快な笑顔で答えた。「若い選手が入ってくるのは男子バレー界にも、自分たちにも非常に大事。それが当たり前にならないと、日本は海外には通用しない。NEXT4やみんながもっと活躍すれば日本にとってもすごくプラスになる」

頼れる兄貴分を中心に、日本男子は新たな歴史をつくる戦いに挑む。バレーボールを愛する方はもちろん、普段あまりプレーを見ることのない方にこそ紙面を通して、コートの熱、選手たちの思いを伝えられれば、と思う。

大坪 雅博(おおつぼ・まさひろ)1983年生まれ。東京都出身。2009年共同通信入社、名古屋運動部で10年のJ1名古屋初優勝を取材し、11年からはプロ野球の中日、フィギュアスケートなどを担当。14年5月から本社運動部で、バレーボールやアマ野球を担当。