サッカーのクラブアジア王者を決めるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は1次リーグの半分を折り返したが、日本勢が振るわない。G大阪、浦和、鹿島、柏の4チームが計12試合を戦い、2勝2分け8敗と大きく負け越している。唯一勝利を挙げているのが昨季のJ1で4位に食い込み、プレーオフを勝ち上がった柏だけで、浦和、鹿島にいたっては3連敗という惨状だ。日本勢が4チーム出場している2009年以降、最低といえる滑り出しとなった。

日本代表が8強止まりだった1月のアジア・カップでも感じたが、近年はアジア全体のレベルが拮抗してきている。外国籍の選手を補強することで戦力の底上げが手っ取り早くできるクラブレベルでは、その傾向が顕著だ。中国の電子商取引最大手アリババグループが出資する広州恒大は今季、豊富な資金力を背景にブラジル代表経験があるFWグラルを獲得。同じ中国勢の山東もブラジル代表のFWジエゴタルデリを補強するなどチームの強化に余念がない。浦和のペトロビッチ監督は「日本のチームも15~20年前は質の高い外国人選手を獲得できたが、経済基盤が弱くなってきた今は多くの金を投じて強化することができない」とこぼす。

そんな苦境のJリーグ勢で、唯一健闘しているのが柏だ。3試合を終えて2勝1分け。昨季国内主要タイトル3冠を達成したG大阪や、オフに大量補強を敢行した浦和と比べても戦力では小粒な印象はぬぐえないが、したたかな戦いぶりを見せている。

出色だったのが、敵地で戦った1次リーグ初戦の全北(韓国)戦だった。基本布陣の「4―3―3」にこだわらず、3人のセンターバックで中央を固め、左右のMFが守備ラインの近くまで下がってサイドのスペースを消すという守備的な戦いを選択。一方的に攻められながらも0―0に持ち込んだ。手にした勝ち点は1。それでも昨季のKリーグ王者を格上と認め、柔軟に戦術を対応させて敵地から持ち帰ったポイントには大きな価値がある。大谷秀和は「勝利に一番近い選択をした。割り切った戦い方に違和感はない」と話した。

柏は11年にクラブワールドカップ(W杯)に出場。4強入りした13年のACLで1試合でもベンチ入りした経験のある選手が16人在籍する。クラブレベルの戦いで国際経験を積んだ選手が多く、海外勢との戦いを苦にしていない。相手に応じた戦い方ができるのは、スカウティングを徹底し、対策を練り上げて試合に臨んでいたネルシーニョ前監督の下での経験も遺産として生きているのだろう。

日本の上位はボール保持率を高めて主導権を握る「ポゼッション」を理想とするクラブが多い。ただ、浦和が敵地で逆転負けを喫した水原(韓国)戦や鹿島がホームで屈したウェスタンシドニー戦のように、攻め込みながらも得点できずにミスから失点するというケースが多い。昨季終了後にJ1川崎からウェスタンシドニーに移籍した田中裕介は試合後に「このチームは耐えることに慣れている。技術的には鹿島の方が上だったけど、球際とか、ボールをゴールに入れるとか、サッカーの本質的な部分で上回った」と誇った。

日本のクラブはアジアで突出した存在ではない。“自分たちのサッカー"を貫きさえすれば勝てるというほど、ACLの舞台は甘くはない。

鉄谷美知(てつや・よしとも)1977年生まれ。仙台市出身。2002年に共同通信入社。福岡支社、大分支局を経て07年に大阪支社運動部へ。12年4月から本社運動部に在籍し、ワールドカップ(W杯)ブラジル大会など主にサッカーを担当。